Sancho Panza Eslavo 2014 ER Serbia
2016-05-17
エスラボは2014年に名前の通りセルビア限定で50CABが1000箱販売された。最近のERにしては販売は個数が少ないが、CABの本数からそのようになされたのだろう。しかしサンチョ・パンサのCABはめずらしい。
一本取り出して観察する。ラッパーはオイリーでテカテカ光っている。やや節くれだち、綺麗な表面とはいえない。色はコロラド・マデューロ。触れると乾いた油っぽさが指に残る。
特徴的なヘッドの形、このビトラはNro.109(ダブルロブスト)だ。サイズは50×184。他にこのビトラはディプロマティコス ブシドー、エドムンド・ダンテス エル・コンデ109がある。
香りはウッドが強く、フットの断面を嗅ぐとごくほのかに獣臭がする。
フットを空吸いしてドローを確認した後、ヘッドをフラットカットする。これも空吸いするが、問題ない。
ヘッドを炙る。黒い硬い木の燃えるような、重々しい芳香が広がる。
ヘッドに口をつけ喫煙する。
ビターを含んだたっぷりとしたウッド。ドライマンゴーのような粘度の高い甘み。乾いた魚の骨。喉奥に差し込まれる白粉、白墨、そしてアフターに長く伸びる控えめなほのかな甘み。ミディアムライトボディ。
サンチョ・パンサの土台はしっかり伝わるが、他のERとは違いを感じる。奥底の方での繊細さがある。旨みは強く、コク深い。
3センチ程で灰を落とし、強喫煙してみる。
暴力的な煙の量とともに、強烈な白粉で目の前が真っ白になった。
ともすれば軽いといえなくもない喫味を、コクの深さが補って立体感を出している。淡い感じだが、がっしりとした輪郭を持っている。これは面白い。
中盤、白粉がふわっと立ってくる。
くせになりそうなパヒュームだ。思わずつっこんで喫煙しそうになるのを何とか我慢する。
このあたりから喫煙をコントロールすると、極小のペッパーが感じられる。強弱を付け、抑揚をつけるとレザーやコーヒー、大鋸屑やサクランボなど多彩な表情がどんどん現れる。息つく暇もない。
終盤にはコーヒーが強くなってくる。花弁の大きな肉厚の白い花のように、むせるような芳香を放つ。それでいて味わいは軽やかで、注意深く喫煙するとまた一枚薄皮の下に新たな味わいが顔を出し、スモーカーを退屈させない。Nro.109のなかでも飛び抜けて表情豊かだ。
甘い余韻を残して70分で喫了。初めてシガーを吸う人がもしこのビトラを手に取るようなことがあれば、一発でシガーの虜になるだろう。そして幸福な時間が待っている。
LABEL : Sancho Panza 【Edicion Regional】