小振りだがゲージが太め、最近の流れのビトラ。ラモン・アロネス スペシャリー・セレクテッド ロブスト・コルトは2013年に25本入りキャビネットが2000箱製造された。

サイズはRG50×102mm、ビトラ・デ・ガレラ：ペティロブストス（ビトラ・デ・サリダ：ペティロブスト）。隠れた名作が多いオランダ限定シガーだ。

ラッパーの色はコロラド。葉巻自体張りがあり、内側から弾けそうな圧を感じる。表面はややボコボコしている。

鼻を近づけると、濡れたシダ類と焦げた芝の香り。空吸いするとドローは通る。フラットカット。切断したヘッド面をかぐと巻き藁の香り。フットを炙る。

 

ややスパイシーな煙が立つ。喫煙すると、広葉樹の枯れ葉の分厚い煙。

白粉系の華やかな味わいの後ろに、ほのかな甘みを感じるウッド。やや李の酸味、淡いレザー、黄色い花。チョーク。

ぱっと白粉が口腔に広がる、可憐さとフルボディを兼ね備えた力強いシガーだ。ドライ気味の煙はソリッドでハバノスの立体感をうまく捉えられる。個性の違うテイストが矛盾なくまとまりを立ててバランスを保っている。

強喫煙すると白粉は針のようの細く鋭く尖り、周囲に振り撒かれた微粉末の白胡椒がパチパチとはぜる。

序盤から旨みが爆発し、そのリングゲージでいきなり満足できる吸いごたえ。メインに据えられた白粉は幸せな気持ちにさせてくれる喫味だ。

味わいの変化は急激に現れ非常に分かりやすい。ウッドが手を伸ばし、舌を搦め捕ってくる。甘みのあるコク深いそれは味蕾を絞り、花が開くように根を張るようにどんどん広くなる。

 

あっ、と気がつけばすでにシガーは短くなっている。

内部が蒸れて滞留した煙を吹き戻しで追い出し、喫煙すると鮮やかなウッドが戻ってくる。カカオ。アメリカンチェリー。遅れて古い鞣し革。

喉を突くウッドの塊のアフターを残し、40分で喫了。

なるほどスペシャルなシガー。ショートスモークで極上の時間を味わいたいときに手に取るべき逸品。