7-2:葉巻と温度と湿度の関係

2016-01-25

シガーを自宅で保管し、熟成させる楽しみを憶えると、どうしてもその環境が気がかりになりがちです。
温度16〜18℃・湿度65〜70%の強迫観念に襲われ、イグルードールやヒュミドールの中身が気になって仕方がない人もいるでしょう。ただ、何度も開け閉めを繰り返すのは禁物です。湿気が逃げてしまいますよ。
そうはいっても、夏暑くなるとカビが生えやすく、冬寒くなると葉巻は乾く。どういった仕組みで、このような湿度の変化は起きるのでしょうか?

湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」というものがあります。
相対湿度は「%」で示されます。我々がよく見る「湿度○○%」というあれです。
これは、ある温度の空気中に含みうる最大限の水分量に比べて、どの程度の割合の水分を含んでいるかを示す値です。一般的にそのまま「湿度」と呼ばれます。相対的なので%表示なのですね。
そして「絶対湿度」ですが、これは空気中に含まれる水蒸気(水)の重量を示すもので、重さの単位で表されます。分かりやすくいえば「水分重量」でしょうか。

さて、空気は暖められると空気中に保有できる水分量が増えます。
逆に、冷まされると保有できる水分量が少なくなります。
空気が熱で膨らんだり、冷やされて痩せたりするイメージです。

つまり同じ相対湿度70%でも、温かい膨らんだ空気に含まれる70%と、冷えて痩せた空気に含まれる70%では、「絶対湿度(水分重量)」が違うのです。
同じ湿度(%)でも冬の方が乾燥しているように感じるのは、これが原因です。

相対湿度と気温で絶対湿度は簡単に割り出せます。
(気圧などによって変化するので近似値です)

 

70%・10℃=6.575g/㎥
70%・20℃=12.09g/㎥
70%・30℃=21.22g/㎥
70%・40℃=35.71g/㎥

同じ湿度でも、温度が高くなるにつれどんどん水分量が多くなるのが分かりますね。
葉巻の保管については、これが重要です。

理論的には、室温が30℃のとき、絶対湿度は20℃のときのおよそ2倍になっているので湿度は約半分、35%で同じ絶対湿度となる計算です。
このような環境のときは、加湿装置を取り外した方が良いという事でしょう。

しかし、計算で絶対湿度を割り出してそれを目安にしても、葉巻自体が水分を取り込む能力はどうでしょうか。これは計測できません。
気温の上下により、葉巻自体も伸縮し、水分を取り込みやすくなったり、逆に吸収しづらくなったりします。

18℃以下が目安ですが、できるだけ寒暖の差が激しくない日の当たらないところに置きましょう。温かいと空気と葉巻が開き湿度を取り込みやすく、涼しいと空気と葉巻が締まり湿度を取り込みにくくなります。
また10年を経たような古い葉巻は、葉巻自身の伸縮性が失われ、水分を吸収・保持しづらく、温度変化に耐えられない個体も出てきます。
また湿気を含んだ空気の特性として、重く下に流れる性質があるので、ときどきヒュミドールやイグルードールの中で葉巻の上下を入れ替えてあげると良いでしょう。

余談ですが、冬に葉巻を吸っていて根元あたりで弾けるようにラッパーが割れるのは、吸気で取り込んだ葉巻内部の湿気と、乾燥している葉巻表面の湿度の差で、内部の膨張にラッパーが耐えられずに割けてしまうのが原因です。

温度・湿度の操作で葉巻の保管は行えると思われがちですが、実は温度・湿度・葉巻の操作が必要なのです。
葉巻管理の環境に正解はありません。絶対湿度は指針になり得ますが、それが全てではありません。葉巻の状態を良く観察し、対話し、自分好みの環境と法則を手に入れる。
それが豊かな葉巻の楽しみ方のひとつなのです。



2018-02-20 更新