Vegueros Especiales No.1 '98

2017-05-09

ベゲロス エスペシアレスNo.1。
1997年にリリースされ、2010年にはディスコンとなった。ブランド自体が2012年に廃止となり、ロゴも何もかも生まれ変わったベゲロスは2013年に復活したが、この旧ベゲロスが廃盤となると決まったあとのベゲロス探しは狂乱ともいえた。
ディスコンと聞けば欲しくなる。スモーカーの性だ。しかしベゲロスはハバノスの中でも2級品と考えられていた節があり、その手のひら返しは鮮やかだった。

サイズはRG38×192mm、ビトラ・デ・ガレラ:ラギートNo.1(ビトラ・デ・サリダ:ロング・パナテラ)。
セミ・ボワト・ナチュールに25本入りで提供された。

香りはごく薄く、ラッパーはコロラド。
ピッグテール、深く締められたキャップ、元から色あせたようなリング。旧ベゲロスの特色だ。シガー表面にはオイル分の残滓のようなものがあり、かなりオイリーなシガーだった事を物語る。

フットを吸ってヘッドをフラットカット。ヘッドを咥えて吹き、空吸いする。ドローは普通。このくらいの年のハバノスは鬼ドローがよくあるので、着火する前に空吸いすれば心の準備ができる。このビトラであればなおさらだ。

フットを炙る。
立ち昇った煙は濃いウッド。喫煙する。
バラのドライフラワーが顔を覆った。ビターなウッド。流木の焚き火。むせるようなパヒューム。
ウッドとレザーを背景に控え、柑橘と濃密な花のテイスト。花や蜜というよりも、純粋に香水に近い。ミディアムフル。まるで何かの腫れのように旨みが感じられるほど強い。

 


喫煙によりシガー内部に空気中の水分が取り込まれ、シガー内部は蒸れていく。そしてシガーが徐々に目を覚ましてくる、ということがある。
ベゲロスのバラは強烈な変化を見せた。

バラは枯れて白骨と化したかと思ったら、次の瞬間受肉している。そしてまた吸うと白い骨を晒しているのだ。シガーに遊ばれているかのような気にさえなってくる。
バラに魅惑されていると、いつの間にか短くなっている。中盤、ビターみが強くなる。
吹き戻してやるとまた強烈にバラの息吹が襲いかかってくる。
強喫煙したときのミントと合わせ、これは何かの料理の一皿か?とすら思う。

終盤、ウッドとビターが強く広がり立ち上がってくる。最後までバラはしぼむ事なく咲き続けて灰になった。
60分で喫了。久しぶりに喫了のタイミングを迷わせるシガーだった。
当時と今ではたばこ葉の種類も違い、生産年からするとそろそろ寿命を迎える。大事にしまい込んで蕾のまま枯らすくらいなら、開いたバラの花を愛でて記憶にとどめるのが本望だろう。
灰になるのがシガーの役割だ。

LABEL : Vegueros 【Aged】