10:葉巻と他のタバコとの違いとは

2017-02-15

葉巻(cigar、シガー)とはたばこ葉を加工して作られるたばこ嗜好品の分類の中のひとつで、乾燥・熟成などを施したたばこ葉を筒状に巻いたものです。
日本では紙巻きタバコ(シガレット)が「タバコ」と呼ばれるので、それがたばこ葉を指す場合もあり紙巻きタバコを指す場合もあり、前後の文脈から判断する事になるのでちょっとややこしいですね。

たばこ嗜好品は多くの種類があります。しかし、その中でも葉巻こそが最上位に君臨し、最大限にたばこの味と香りを楽しめるものです。
それは葉巻が香料や添加物、薬品など余計なものは一切使用せず、たばこ葉のみから作られるからです。

そんな“King of tabaco”葉巻について、他のたばこ嗜好品との比較や基本的な事をここでは解説します。



葉巻の原料になる「たばこ葉」とは
 


葉巻の原料になるたばこ葉は、学名 Nicotiana tabacum (ニコチアナ・タバカム)といい、ナス科タバコ属の多年草で、亜熱帯性植物です。
葉の成分にアルカロイドの一種である「ニコチン(nicotine)」を含み、これが学名の由来になっています。
ニコチンは揮発性がある無色の油状液体で、葉巻はたばこ葉に含まれるこのアルカロイドやその他の成分が時間や湿度、微生物や発酵の影響により芳香成分に分解され様々な味わいの変化を示します。

よく聞くタバコがやめられない人の話は、このニコチンの依存症からくるものです。タバコを吸うと、ニコチンは肺から効率よく血液に吸収され脳へ回り、ドーパミン神経系へ影響を与えるからです。

葉巻は肺喫煙ではなく口腔喫煙をするため肺には吸収されず、吸収はわずかに舌の粘膜と、唾液から内臓へ回ります。内臓はニコチンを毒物として判断し、排泄を促します。肺喫煙するタバコに比べ吸収がごく少ないためニコチンへの依存は少なくなり、またお通じが良くなるという副作用が現れる事があります。

「たばこ」はアメリカ新大陸からもたらされたもので、その名の由来はポルトガル語の「tabaco」を語源にします。たばこは世界中に拡大し、「tobacco」として欧米圏でも通じます。
新大陸から世界中に広まったたばこは様々な国で生産され、最も生産量が多い国は中国。次にブラジル・インド・アメリカ・ジンバブエと多くの栽培されています。
このあたりの歴史については、9-1:シガーの起源で詳しく説明しています。



葉巻の位置づけと、たばこ嗜好品の種類について
 


たばこ嗜好品は多くの種類が存在します。
紙巻きタバコ以外のバラエティが認知され、習慣喫煙から趣味喫煙にシフトした現在では多くのたばこ嗜好品が簡単に入手できるようになりました。

紙巻きタバコ

タバコ、たばこ、煙草、紙巻きタバコ、シガレット……「たばこ」といえば日本ではこれを指します。
刻んだたばこの葉を紙で巻いたものを指します。
多くはフィルターがついていますが、フィルターのない両切りと呼ばれるものもあります。

現在は箱にニコチン・タール量を記載するために工業的な工程を経て生産されています。
収穫したたばこ葉を機械で刻み、薬品で漂白します。その後着色し、同時に規定量のニコチン・タール・香料・添加剤をスプレーします。これは成分の均一化のために行われます。またさらなる均一化のために、タバコシートというたばこ葉を水溶させシート状に固めたものを入れる場合もあります。
葉巻のように喫煙途中で消えないよう、燃焼剤を染み込ませた巻紙で巻き、フィルターが取り付けら箱詰めされて出来上がります。

手巻き用タバコ

紙巻きタバコは古くは刻まれたタバコ葉のみの姿で提供され、喫煙者が別に入手した紙でそれを巻いて吸っていました。今もこのスタイルはRYO(Roll Your Own)やシャグという名で販売されています。
好みの巻紙と刻みたばこを組み合せ、手やローラーなどの道具を使って自作します。
たばこの味わいや香り、サイズなどを好みで調整できます。製造工程は紙巻きタバコと同じです。

パイプタバコ

パイプと呼ばれる様々な素材で作られる喫煙具に、刻みたばこを詰めて着火し喫煙します。
パイプ用刻みたばこは香料を加えたものもあり、これは着香ものと呼ばれます。
同様の手法は他のたばこ製品にも使われ、バニラやコーヒー、ブランデーや果実のフレーバーをつけたものなどが多く存在します。この着香ものの紙巻きタバコは「ミニシガー」や「ポケットシガー」などメーカーが様々な名称を付け、葉巻と混同される場合があります。

水タバコ

シーシャやフーカなどと呼ばれます。
着香したたばこの葉に燃える炭を乗せて熱して、発生した煙をガラス容器の中の水を通して喫煙するものです。生のフルーツを使いさらにフレーバーを追加する手法など、様々な楽しみ方があります。
中東やインドや東南アジアから広がり、日本でもこれをメインにしたカフェやバーなどが増えています。
炭を燃焼させるので、不完全燃焼で一酸化炭素を発生させる事があるので喫煙する時は場所などに注意を要します。

噛みタバコ

たばこ葉加工品を様々な香料とともにシート状にしたものをガムのように噛み、風味と味を楽しむ歴史の古いたばこ嗜好品です。
火を使わずに楽しめますが、唾液を飲み込むと急性ニコチン中毒を起こすおそれがあるので適宜唾を吐く必要があります。アメリカの大リーグでおなじみの光景です。

嗅ぎタバコ

たばこ葉を細かく粉末状にして香料などを添加したものを鼻腔で吸い込み、鼻の粘膜からニコチンを吸収するという、火を使わないたばこ嗜好品です。
噛みタバコ同様歴史が古く、たばこがヨーロッパにもたらされたころから貴族の間で流行しました。美術性の高い嗅ぎタバコケースなどが高値で取引される事があります。

シガリロ

細巻き葉巻などとも呼ばれますが、葉巻とは異なります。
乾燥処理などを施したたばこ葉を細かく刻み、乾燥させたたばこ葉で機械で巻いた、シガレット状の細く短いものを指します。
葉巻のように湿度の調整やヘッドを切断する必要はなく、着火すればすぐ喫煙できます。着香してあるものも多く、葉巻と違い長さと太さがないので喫味が強く、美味しく喫煙するには技術が必要です。


元来葉巻(シガー)というものはそれ1種類のみを指す言葉でしたが、様々な派生品が現れたためそれらと区別するために「プレミアムシガー」とも呼ばれるようになりました。
これは「喫煙するためにヘッドをカットし吸い口を作る必要がある」「温度と湿度の管理を行う必要がある」「オールハンドメイドである」「天然素材のみが使われている」などの条件を揃えた葉巻がそう呼ばれます。
よってプレミアムシガーを「葉巻(シガー)」と呼ぶのであれば、温湿度の管理を行わないドライシガーやシガリロ、着香されたもの、薬品処理を行うノンキューバンシガーなどはシガーと呼ぶのははばかられます。

 


タバコといっても、日本のように紙巻きタバコのみを指す言葉の中でも、このように多くのバラエティが存在します。
これらはそれぞれ多くの個性を備え、様々な歴史があり、色々な面から好まれ、たくさんのファンがいます。
どれが良いというものはありませんが、そのなかでも葉巻こそがたばこの味と香りを最も楽しむ事が出来るものでしょう。
製法を見ると分かりますが、葉巻はたばこ葉のみから作られ、それのみで味わう唯一のたばこ嗜好品です。
紙やフィルターを通さず、香料や薬品が含まれないオーガニックなもので、たばこというものを何も足さずに何も引かない、素のままを味わう事が出来るのです。
ウイスキーを飲む方なら分かりやすいですが、葉巻がシングルモルトに例えられるのは、そのような点からも分かりやすい表現です。
そんな葉巻をさらに楽しむ一助として、このサイトには様々なコンテンツが用意されています。
多くの人に葉巻の楽しみと魅力を感じていただきたいと思います。