Juan Lopez Don Juan 2015 ER Benelux

2018-06-12

17世紀のスペインの伝説上の放蕩児、ドン・ファン・テノーリオの名を冠したシガーとは、と最初は驚いた。野心的な名前だと。
ベネルクスは当然ベルギー・オランダ・ルクセンブルクのことだが、その市場へのシガーにこの名前を付けることの意味は何だろうか。

気を取り直してシガーをチェックする。やや濃いめのコロラド。ラッパーは少し厚いか。ほのかにウッドを漂わせている。
通常のファン・ロペスのリングに赤銀のERベネルクスリング。
サイズはRG52x135mm、ビトラ・デ・ガレラ:エドムンド(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト)。25本入りSLBが3000箱販売された。

フットを吸ってドローチェックし、ヘッドを回し切りでフラットカット。
フットを吹いて葉くずを飛ばし、空吸いする。ドローはやや固め。
バーナーでフットに火を回す。土を熱したときのような香りが立ちこめる。
喫煙する。
力強いウッド、そしてその木からしたたる甘み。
樹の発酵香をわずかに感じる。ビターなチョコレートケーキ。強いコク。ミディアムフル。
重厚というより、目の醒めるようなさっぱり感、清涼感。アフターに若いチェリーがある。
3センチほどで灰を落とし、強喫煙すると、質感を変えたウッドが楽しめる。

 


中盤はビターなカカオがせり出してくる。
ウッドに包まれた魅惑的なそれは、スモーカーの喫煙欲を煽ってくる。ブローするととろっと蜜状のタッチになり、思わず突っ込んでしまう。
時折見える若々しさと、老練さを感じさせるそれとのコントラストが非常に面白く、やはりシガーも吸い方の技術で端々まで楽しみを享受できると再確認できる。

終盤はややハードなウッドにまみれる。
またもチェリーが顔を出し、ドローを繰り返すと白粉が咲く。
さらっとした三温糖、軽快なレザーが小気味いい。60分で喫了。

ファン・ロペスのスタンダードラインナップは2種類しかないので、ベースのテイストを把握するのは簡単だ。
そのベーシックなビトラを味わって、各国の毛色の違いを読み取るのが数多くあるこのブランドのERをより楽しむ方法のひとつだ。
その際にはぜひこのドン・ファンを手に取ってほしい。

LABEL : Juan Lopez 【Edicion Regional】