H. Upmann 520 Aniversario

2015-06-03

 

キューバで毎年開催されるハバノス・フェスティバル。新作シガーやその年リリースのエディシオン・リミターダ発表の場となる、キューバシガー最大の祭典だ。2012年の今年は14回目を数える。
このアッチェ・ウプマン(普段はこういう発音はしない・・・アップマンでじゅうぶんだ)520アニベルサリオは、このフェスで発表された。
ニス塗りの箱に豪華な金文字。スライド蓋を外すと、木と皮の香りが沸き立つ。
ボックスコードを見ると2012年2月。開催直前に巻き上げたのだろう。入手直後に一本吸ってみたが、そのときはまだ発酵途中のような強い酸味が特徴的なビトラだった。
ダブルリングは黒地に金の装飾模様、煌びやかな赤で船の絵が描かれている。そう、520周年とは葉巻発見520周年の意味だ。
 

 

葉巻の色はコロラド・クラロ。ラッパーは軽くテカテカと光り、わずかに産毛が生えている。
サイズはロブスト(ロブスト)、50×124。
フラットカットして空吸い。ロブストサイズなので、当然のようにロー良好。
着火して深く吸い込む。アップマン特有の木質の甘みが猛然と立ち昇る。煙量豊かで、圧倒的な煙。煙。煙。
強く吸うと鞣革が立ち上がってくる。
注意してみると、背景にほのかに素朴な甘みを感じ取れる。絞りきった砂糖黍を噛んだような甘みだ。陶然としてくる。灰は黒みがちなゼブラ。コクゆたか、まろやかで密度の濃い煙にのめり込む。
 

 

中盤になると、木質系はそのままに、甘みの質が蜂蜜に変わっていく。
ときどき花の芳香も感じる。煙の塊に顔を突っ込みながら、没頭する。
残り5センチになると、極小に挽いた白胡椒のスパイシーさが広がってきた。
これもアップマンの特長であるトースト感が強く顔を出してくる。併せて、樹の髄から滴り落ちたとでもいうような甘みが舌に染み込んでくる。5ヶ月が経って酸味は消え失せ、芳醇な葉巻へと変化していた。
60分で喫了。この葉巻が5年、10年を経てさらにどのような味わいとなっていくか、今から楽しみだ。
 
※付記:一部海外でこのビトラは、「アップマン ロブスト トラベルヒュミドール」をばらしてリングを追加しただけのものではないか?という話があるようだが、それはあり得ない。

LABEL : H. Upmann 【Special】