エル・レイ・デル・ムンド タイノス。経年変化で金のリングは緑青を帯びたように変色している。ハバナシガーの金色は、古くなるとよくこういう感じになる。

 

刃を回してフラットカット。ドローは良いようだ。

着火すると、表皮の分厚い樹を燃やした香りが弾けるように沸き立つ。喫味はややビター。ミディアムボディ。

鼻を抜ける強い木の香味が素晴らしい！年を経たコクのある鞣革を彷彿とさせる。

吸い込みの最初の一瞬は木質なビター、しかし中ごろと終わりには甘みが立つ。面白い。

煙を吐いた後も、上顎奥に立ち止まる濃いウッディ。わずかにシナモンっぽさ、深く吸うと金属感も感じる。

 

 

一度灰を落として直に吸う。灰のホールドはまずまず。灰の色はややグレーがかった白だ。

口の中で煙を転がすと、仄かな奥深い甘みの木質感。

多肉質の木の実を燃やしたような味。乾いた西洋杉が爽快ささえ感じさせる。ついつい吸い進めてしまいそうになる。あとひく味わいだ。

 

終盤に達すると、わずかにコーヒーを感じる。背景に香木。短くなった葉巻を灰皿に置く瞬間に、最後にハーブが立ち昇った。

終始、芳醇なウッディーが穏やかに薫る110分。残り少なくなったこれに、どのようなシチュエーションで火をつけるべきか。