El Rey del Mundo Grandes de Espana '07

2015-06-03


エル・レイ・デル・ムンド グランデス・デ・エスパーニャ(グランド・エスパーニャではない)は2010年にディスコンとなった。
60年代から生産されていたエレガントな葉巻だったが、いくつかの理由で他の葉巻同様もうなかなかお目にかかれなくなってしまった。個人的には「葉巻」というとこういうビトラのような細く長ーいものが反射的に連想される。

グランデス・デ・エスパーニャは38×192、デリカドス(ロング・パナテラ)。
デリカドスといえばパルタガスのコネスールNo.1と同じサイズだ。その吸い比べはなかなか面白いかもしれない。
ラッパーは薄く葉脈も少なくなめらかで、非常にエレガントな表情。香りは軽くレザー、ウッド。
色はコロラド・クラロ。フットを咥えてみても、ドローに問題はなさそうだ。フラットカットする。

フットを焦がすと、分厚いスペイン杉の板が燃える香りが充満する。
ひと口吸って最初に感じる味覚は甘み。
木質系の甘みだ。ボディはミディアム、澄んだウッディさが口腔を満たすのはえもいわれぬ心地よさ。
くわえてナッツ、殻付きアーモンドだ。煙の感触も素晴らしく、コクが深いこの味わいは思わず前のめりになりズバズバ吸ってしまいそうになる。
が、このサイズは簡単に燃焼温度が上がってしまうので、頭の隅に置いておいて吸い進めてやる。
ややスパイシーさを伴った旨みがモコモコ溢れ出し、柔らかい甘みのナッツと溶け合う。
煙を口から吐き出すときの後味は、まさに「ナッツを噛んで飲み込んだ」ようなアフター。陶然としてくる。

白い灰を落として直接喫煙する。炸裂する揮発性のニュアンス。
温度が下がるのを待ってそっとひと吸い。
感じたぞ。ざらっとした粒の存在を舌に感じた、そんな錯覚すら覚える砂糖ほどの猛烈な甘み。

 


中盤、白胡椒が立ち上がってくる。
立体的な味わいが色んな面を見せ飽きさせない。ひと吸いごとに様々な表情で楽しませてくれる。
アフターの口腔奥に感じるコクが絶妙だ。香木のニュアンスを感じる。

終盤、揮発性のガス香も加勢しその味わいの振幅はどんどん広くなり段々恐ろしくなってくる。
ホワイトペッパーは野太くなり、煙から湧き出るその他の味わいも固まりとなり味蕾を容赦なく刺激する。
そして最後に、全てを飲み込まんとする無辺大のウッディ。
圧倒されっぱなしの80分で喫了。終始、苦みや酸味は感じなかった。

傑作である。この箱はまだ5年ほどしか経っていないが、これがさらに5年経ったら一体どうなるのか。考えるだに恐ろしい。

LABEL : El Rey del Mundo