H.Upmann Lonsdale '98

2015-06-03

 
ロンズデールというビトラが存在するブランド自体が少ない事はさんざん言ってきたが、何度でも強調したいのはロンズデールに外れがごく少ないという事。
このアップマン ロンズデールも2002年に廃盤となったが、非常に素晴らしく、そして非常に見つけづらい。
 
サイズは42×165、セルバンテス(ロンズデール)。25本入り化粧箱のみでの展開だ。

1本取り出して香りをかぐと、ウッドが基調となった、古い民家の押し入れの香り。

フットはボックスプレスで四角くなっており、コロラドのラッパーにはところどころブルームの痕跡がある。
表面にはやや葉脈があるが非常になめらかで、触れるとカサカサと音を立てる。
フラットカット。ドローは非常によい。
 
ひと口吸うと、非常に濃いキャラメルが湧き出た。
ビター。ウッド。しびれるように輪郭のくっきりした味わいが「襲いかかって」くる。
白墨。バターキャンディ。煙を吐いたあとに口腔上顎あたりに残る余韻が喫煙を急いてくる。ミディアムボディ。とてもコクが深い。
 
 
ビターをまとったウッドは特徴的で、なんとも心地よい。どちらも剥き出しではなくお互いがカバーし合い、素晴らしくスムースなテイストとなっている。
強喫煙する。口いっぱいにナッツをほおばったような感覚。メタリックな煙が流れる。そしてミント……
 
中盤、ビターはやや薄れレザーが主張してくる。
キノコっぽい菌類の旨味も感じ、まったく飽きさせない。レザーはどんどん伸びていき、短くなった葉巻が逆に存在感を増してくる。
 
ビターが再び濃くなった終盤、枯れた香木が噴き出してきた。
千変万化の結末はそれまでの変化の超える劇的な転調となった。やはり葉巻は吸い切ってみなければわからない。予測は無意味で不可能だ。
 
70分で喫了。
リングの印刷ヨレやエンボス不良の多いビトラだが、その適当さもこの葉巻に巻かれているとハバノスの象徴のような気がしてくる。
ロンズデールは傑作が多いが、間違いなく3本の指に入るだろう。

LABEL : H. Upmann 【Aged】