Trinidad Vigia '14
2015-06-30
「ヴィフィア」という名前でまず思い出すのは、ヘミングウェイのキューバの邸宅、「フィンカ・ヴィフィア」だ。
ヴィフィアは2014年に発表された、トリニダの新しいビトラだ。
なんといっても目をひくのはその偉容。54×110という、レイジェスと同じ長さなのに圧倒的なゲージの太さだ。(レイジェスは40)
トリニダ伝統のピッグテールと相まって、本当にソーセージのように見える。
シェイプ名称はトレス(ペティロブスト)。新たな名前が与えられた。
葉巻を手に取る。非常に豊かな濃いレザーとウッドの香り。
ラッパーはコロラド・マデューロ、指触りが非常に良い。
その体躯はなんだか往年のEL、ショートロブストTを彷彿とさせる。こちらの方がふたまわりほど大きいが。
シザーでフラットカットする。ヘッドの切り口を嗅ぐとハッとするほど鮮やかなタバコ香。
フットを炙ると溢れ出る、たおやかな甘い木の香り。
喫煙する。
渋みのあるアーモンドの皮のような厚いウッド。その下にチョーク、蜂蜜を絡めた木の匙、バタークリーム、杉の丸太、ほんのりカカオ。まぎれもなくトリニダの味わいだ。ボディはミディアム。ゲージの大きさに見合った煙量で、それよりも強く感じられる。
アフターの奥に残る味わいはいつまでもいつまでも甘みが尾をひく。
強喫煙すると驚くほどシルキーな煙が立ち昇る。
甘みは収縮してペッパーになり、猛々しい表情を見せる。カカオとウッドが厚みを増し、立体的な顎で口腔内を噛んでくる。暴力的な煙量に蹂躙される。
中盤は葉巻内部が蒸れて喫味がやや和らぎ、ダークカカオとウッドの対比を楽しむ。
繊細なトリニダのアロマを豪快に煙を吐いて喫煙していると、なんとも贅沢な気分に浸れる。コク深く、旨みの固まりが大きい。
蜜の余韻がその気分に輪をかけ、ぼんやりと太い灰が落ちるのに任せているとすでに終盤に差し掛かっている事に気がつき驚愕する。
葉巻が短くなるにつれ、甘さが強調されてくる。それも直線的な鋭いやつでなく、横に広がるまったりとした甘みだ。
60分で喫了。
世界のトレンドにあわせ、軸足を移してきたハバノスの、太短ビトラのひとつの到達点ではないだろうか。
高級ラインであるトリニダでそれをどう表現するか。答えは紫煙の中にある。
LABEL : Trinidad