Sancho Panza Sanchos '00

2015-12-11

サンチョ・パンサ サンチョスは、何よりもその威容がインパクト大だ。初めて見た人は、それを手に取り喫煙するのに尻込みするだろう。

47×235、グランコロナ(ジャイアント・コロナ)というビトラはハバノス最大のシガーである。同サイズはこれとMontecristo Aしか存在しない。

しかしサンチョスは10本入りドレスボックスが2000年に、5本入りは2006年にディスコンとなり、60年代から生産されてきたこのシガーはもう生産されていない。

このような巨大なタバコ葉をラッパーに使用するシガーは、とんでもなく豪華な代物である。

 

箱を開き、香りを確認する。香りはかなり薄らいでいる。

ごくわずかにウッド、紙の香り。

ラッパーはコロラド。驚くほど表面はなめらかで、まるで絹をなでているかのような感触。葉脈は少なく、薄く非常に美しいラッパーだ。このサイズのラッパー用の一枚葉、そしてこの美しさを豪勢に使うことにただただ驚く。

フットを吸う。経年変化でリングも緩くなったシガーは、ストローのように吸気できる。

ヘッドをフラットカットし、フットを炙る。立ち昇る煙に、太く硬い樫の木の森を見た。

 

喫煙する。豊潤な穀物系の甘みが味蕾を刺激する。イネ科のコク。

無辺大の優しいウッドがとんでもない存在感を放っている。ミディアムボディ。

使い込まれたレザー、古びた木造の洋館。白粉、洋栗、スミレの花。そして後ろに控える微量のビターが非常に良いまとまりを醸し出している。花形と渋い役者をバランスよく取り揃えた、ひとつの演劇のようなイメージを受ける。

 

強喫煙すると、ペッパーとアーモンドが口腔に爆発する。ゆっくり喫煙した際とのこの変化に、また舌がきつく絞られる。

広まり、狭まりするウッドは喉奥に存在感を放ってくる。冗長な葉巻であるなど、とんでもない。息つく暇さえ与えられないという確かな予感。

30分ほど喫煙すると、外見的に普通のサイズの葉巻のようになる。

だが、このシガーを吸って「まだこんなにある」と考える人は皆無のはずだ。

ふくよかなウッドに、クルミの皮のようなテイストが加わり、さらに旨みがぐんと増す。

 

中盤、吹き戻してやると鮮烈なレザーとビターのニュアンスが舌を這う。

チョークや湿布薬のようなものも顔を出し、どこまでも変化していく。先が見えない。

 

終盤にはコーヒーのような風味が膨らんでくる。

ウッドと渾然一体になったそれは、ピナ・デル・リオの広大なタバコ畑の幻影を見せてくれる。ボディはやや強まり、無限の変化を経たシガーは最後にナッツを噛み砕いたような旨みを残した。

 

90分で喫了。

このサイズのシガーに火をつけるのはチャレンジだ。しかし、そこにはスリル満点の大冒険が待っている。ぜひ一度体験してほしい。

ああ、葉巻は愉しい。

LABEL : Sancho Panza 【Aged】