Saint Luis Rey Pacificos 2009 ER Asia Pacifico

2016-06-09

パシフィコスは数少ないサン・ルイ・レイのERだ。これを合わせて2014年にリリースされたペルーER「インカ」の2種類しかない。2009年に25CABで4000箱がリリースされた。

サイズは52×156、ピラミデス(ピラミデ)。リングはER用のエンボスが深い「HABANA・CUBA」の印刷があるコモンとは別のもの。

ラッパーはコロラド。つやがありややオイリー。ほのかなタバコ葉とウッドの香りを漂わせている。

 

尖ったヘッドをざっくりとフラットカット。

フットを炙ると、甘み成分の強い煙が鼻を突く。

喫煙する。

けぶる山火事。ビターなウッドが直撃する。直線的な、どこまでもまっすぐなウッド。分け入っても分け入っても暗い森の奥。

ナッツの皮。杉の表皮。ビターがその橋渡しをしていて、時折甘さがひょっこり顔を出す。コクよし、ミディアムフル。

縞模様の灰を落とし強喫煙する。

白粉の予感とカシューナッツ、カンゾウ。アフターにビターがふあーっと涌き上がり舌の根元をしめつけるタンニン。

 

中盤は序盤の派手さはなく、だんだんトーンダウン。

ウッドはおとなしくなり、華やかなアロマが楽しませてくれるが、勢い不足は否めない。目をつぶり、若干の甘みとフットから立ち昇るパヒュームを集中して感じ取る。

ボディはライトボディのように軽く薄くなり、まるで別のシガーのような変化。変化、急激な変化だ。

 

終盤、花鰹と香水が振り撒かれ口腔がカーニバルと化す。

先ほどの空隙はなんだったのか。そんな事はおかまいなしに、味覚のパレードが舌の上で繰り広げられる。

アフターとフィニッシュが踊り狂うように変化する。ボディは太くなり味わいは立体的になる。甜菜糖、オリーブオイル、古びたヌメ革。70分で喫了。

 

リリースされたばかりの頃に吸った印象は「なんだか地味だなあ」だけだったが、7年ヒュミドールで熟成させたところ、これぞERという味わいに昇華した。アジアERはこんなふうに出始めは曖昧な印象が強い。

しかし、熟成で変化するハバノスの醍醐味を味わわせてくれるとも言える。

本当にハバノスは奥深い。

LABEL : Saint Luis Rey 【Edicion Regional】