Punch Petit Punch '05
2016-07-14
パンチ・パンチがそのままミニチュアになったようななりのペティパンチ。生意気ななりである。
小兵が多いパンチのなかでもこれはさらに小さめ、40×102、ペルラス(ペティコロナ)だ。手頃なサイズが人気だったのか、10本・25本の化粧箱、50CAB、5本入りペーパーパックとバラエティに富んでいたが、2009年に全てのパッケージで廃盤となった。
ドレスボックス入りの個体なのでフットはいびつな四角形だ。リングに損傷はなく綺麗で、まだ油分を保っているラッパーと相まってまるで工場から出荷されたばかりのような趣きさえある。
表面は保湿力と弾力を失ったラッパー特有のキシキシする肌触りで、葉脈に沿って黒ずんでいる。
キャップはがっちりと一体化している。フットを空吸いすると空気が通る。10年以上の時を経てフィラーが痩せたのだ。
フラットカット。ジョキ……という硬いものに刃が入る音だ。断面は緻密だが、やはり空吸いすると何の抵抗もないストローのようにドローが通る。
フットを炙る。おお……と思わず声が出た。
焦げ感の強い煙に含まれる甘い甘い香り。綿菓子のような香りだ。
喫煙するとそれは口腔に広がり、思わずほころんだ口から漏れ出たアフターはウッドとレザーの中間を示し、エイジドシガー特有のキレ感が余韻に花を添える。
ミディアムボディだがその小さいビトラに似合わず鋭いアフターを隠し持ち、ハニーマスタードのようなコクと切り倒したばかりの杉の樹の幹の断面が舌を捕らえて離さない。
緻密な煙のテクスチャーは確固たる物体を味わっているような舌触りで、これこそハバノスの特徴だ。
3セントほどで灰を落とし吹き戻して強喫煙する。旨みが爆発した。白粉、カタクチイワシの煮干し、陳皮。ウッドのベールを突き破って傲然と放たれたそれらは味蕾を刺してシガーが口から離れない。
舌に残るアフターもメインのテイストを支配するのもビターが強いのだが、そんなものは全く感じさせず、そのコントラストでさらに味わいが浮き上がってくる。
その短さから残り喫煙時間が読めてしまうのを呪いながら、中盤には黒茶系の中国茶が現れる。
枯れ感が非常に心地よく、それでも痩せてはいないのでくっきりと舌味わいをぐんぐん流し込んでくる。
味わいはやがて白粉に収束していき、乾いた杉の香りも高く最後のうねりを見せる。
吹き戻すと喉奥に残る白胡椒も素晴らしいアクセントで、ただひたすらそのシガー短さを呪うほかない。
ペッパーと乾いた花粉が渾然一体となった嵐を吹き上げ、ペティパンチは燃え尽きた。
40分で喫了。
この短い時間でこれほどの贅沢を過ごせる、小さなビトラにも宝物が詰まっている。
手頃なサイズなので手が出やすく、なかなか見る機会もなくなってきたが見つけたら迷う事なくヒュミドールに押し込むべきシガーだ。