Punch Churchills '98

2016-11-14


すでに2010年に廃盤となったパンチ チャーチルは1960年代から存在が確認されている。
サイズはRG47×178mm、ビトラ・デ・ガレラ:フリエタNo.2(ビトラ・デ・サリダ:チャーチル)。ビトラ・デ・ガレラは厳密なビトラによるファクトリーネーム、ビトラ・デ・サリダはポピュラーネーム、店頭での大まかなサイズ呼称だ。
アルミチュボスのものもあり、化粧箱と50CABが存在した。チュボスは化粧箱のものしかなく、10本入りの個体も存在した。

旧パンチの大ぶりなリングが、チャーチルの体躯に負けていない。変色してやや緑がかっており、過ごしてきた日々を物語る。
コロラドのラッパーは油気が失われており、葉脈が浮き上がる。鼻を近づけるとウッドの香りを宿しており、着火する前からいやがおうにも期待が上がる。

フラットカット。空吸いしてみると、ドローは申し分ない。
フットを焦がすと、燃える松林。喫煙する。黒糖。
最初に驚いたのは、18年経っているシガーなのにその若々しい味わいだ。
レザー、レモン、カシューナッツ。アフターにほのかなビター。強さはミディアム。繊細な煙のタッチで、とても瑞々しい。
一度灰を落として強喫煙する。二枚貝の煮汁のような濃い旨みと、白胡椒。濃い味わいのスープが奔流のように口腔を過ぎていく。余韻はスッーと広がり長く、コクが深い。

中盤、喫味はやや浅くなりウッドのニュアンスが強くなる。シングルモルトのヨードのような味わいも手を伸ばし、テイストの変化の大きさに驚かされる。
吹き戻して喫煙すると白粉が顔面をガバッと覆った。


保湿力を失ったエイジドやビンテージのシガーによくあるが、余計なものが削ぎ落とされソリッドに、そしてダイレクトに味覚に響いてくる。この個体もそれだ。
レモンピールは丸みを増し、まるでオレンジのように膨らんでくる。

すでに短くなってしまったシガーから、シルクのようなタッチ。吸気で内部が蒸れたところを吹き戻すと、白粉で化粧した味わいが喉にチョークと乾いた牧草を運び、栗の皮のようなニュアンスを残す。秀逸。
90分で喫了。
チャーチルというビトラ自体少なくなってきたが、腰を据えてスモーキングするのにこれほど適したものはない。
リング変更前のパンチの味わい深さも堪能でき、どこかで見つけたら一度吸ってみる事をおすすめする。きっと満足できるはずだ。

LABEL : Punch 【Aged】