Partagas 8-9-8 Cabinbet Seleccion Varnished '96

2017-07-05

パルタガスの8-9-8は2種類あることは前にも触れたが、これはロンズデールの方、箱がニス塗りの方だ。よって通称「バーニッシュ」と呼ばれ区別される。
といってもアンバーニッシュは市場でめっきり見かけなくなったので、区別する必要もそのうちなくなる事だろう。

特徴としてはアンバーニッシュとのそのビトラの違いで、サイズはRG43×170mm、ビトラ・デ・ガレラ:ダリア(ビトラ・デ・サリダ:ロンズデール)。こちらの方が長い。
1970年代から生産されており、25本入りニス塗り8-9-8ボックスで提供される。

ラッパーはやや青ざめたコロラド。手に取ると10年を越えたシガーの持つあの独特な芯の固さを感じる。表面がやや収縮しているような指触りは、吸湿力が下がっている事を教えてくれる。
鼻を近づける。古い木造家屋の押し入れの香り。リングはあの往年の慎ましやかな小ぶりのパルタガスリングだ。

フットを空吸いすると、ドローは藁のように通る。これだけの時間を経てフィラーが痩せたのだ。
フットを炙る。ふんわりと軽やかなウッドのアロマが立ち昇る。その香りに誘われて喫煙する。


力強いタンニンを備えたウッドが豪腕をふるってくる。ウッドは複雑に様々な種類と立体感が絡まり、確かな質量を持っているかのような密度で口腔を制圧する。
しかしそれも粗野な感じは全くせず、極限まで贅肉を削ぎ落としたようなスムースさ。
薫製カシューナッツ。抑制の利いたビター、そしてそれにより強調されたアフターの甘さ。ミディアムフル。
強喫煙すると鋭いレザーと白粉を爆発させる。

葉巻内部が蒸れてきて中盤、シガーはまた新たな表情を見せてくれる。
甘さがやや強まりシロップのように変化し、ウッドも幅を広げる。カカオ。チョーク。
眠りから覚めたようにガンガンうま味が上昇する。味覚の暴力と言っていい。
ロンズデールの見事な変化に唸っていると終盤である。
クルミとメタルの質感。無辺大のウッドに抱かれ、最後は白粉の嵐にまかれ真っ白な世界に突き落とされた。

70分で喫了。
痩せているが枯れていない、力のあるシガーだ。20年以上経っても目の覚めるようなパワフルなテイスト、パルタガスには恐れ入る。

LABEL : Partagas 【Aged】