Cohiba Maduro 5 Magicos '16

2017-08-09

今年で10周年、2007年にコイーバからリリースされたマデューロ5(シンコ)の3種類のうち、真ん中のサイズがこのマヒコスだ。
「マジコス」ではない。ただ、「ヒガンテス」を「ジガンテス」と読むなら「Juan Lopez」も「ファンロペス」ではなく「ジュアンロペズ」と読むべきだろう。ハバノスにローマ字読みはない。

マデューロ5シリーズなので、やはりラッパーは5年、バインダーとフィラーは3年熟成させた物を使用している。
最近デザインが変更になったマデューロ5リングが巻かれ、25本入りと10本入りのブラックラッカーのボワト・ナチュールに納められる。見た目だけでもすでに他のシガーとは一線を画す仕上がりだ。
サイズはRG52×115mm、ビトラ・デ・ガレラ:マヒコス(ビトラ・デ・サリダ:ペティロブスト)。
ラッパーは名前の通りマデューロ、厚みを感じさせない端正な仕上がり。強いタバコ香に表面のオイリーさ、非常に喫煙欲をかき立てる。

フットに着火すると、ウッド系の甘い煙が立ち昇った。
喫煙する。甘い。
蜂蜜のようなねっとりと質量を持った甘みと、ぎっしり密度のあるウッド。
そして確かなコイーバの持つふくよかな、輪郭があるような煙。
ウッドは多くのテイストを内包しており、レザー、深煎りコーヒー、白墨、ハッカ、陳皮、バタービスケットなどが口腔に溢れ出す。
ミディアムフル。ボディは太い。うま味はあとからあとから無限に現れ、際限がない。

3センチほどで黒みがちなシマウマのような灰を落とし強喫煙する。
とたんにウッドの主張が前面に押し出され、コーヒーとビターがぐっと強まる。唾液の止めようもない。口腔に満ちる煙は舌で触れられそうなほどのテクスチャーが感じられる。


中盤にはコーヒー感とコイーバ特有の焼き栗のようなテイストが濃くなる。ここに生クリームでも添えたら立派なスイーツだ。口の中で完成するスイーツ。
シガーを楽しんでいるときに甘い物が欲しくなるのは、口の中でこの渾然一体によるひとつの皿、ひとつの料理、ひとつのデザートを作り出す楽しみもあるからだ。
吹き戻すと今度は蒸かし栗のようなホクホクとした喫味も現れる。吹き戻しはまあブローと呼んでも構わない。呼び名などより、自分が発明したこの喫煙技術の方が広く認知され、シガーの楽しみがより深く広がれば良い。

以前に比べて豪奢に幅が広くなったリングを外す。
終盤、短くなったシガーはひとしお濃い味わいをまき散らし、ビターとコーヒーとその奥の芯にある甘みは、スモーカーの喫煙を煽り立てる。
技術の限りを尽くさなくとも、ただ吸うだけでハバノスは美味い。さらにそのコイーバの、さらにさらにその熟成というカスタマイズを施されたこのビトラは、ハバノスの極みのひとつと言える。

50分で喫了。
ハバノスのラインナップで最上位に君臨するコイーバ、そのハイラインのひとつたるマデューロ5はぜひ味わってほしい逸品だ。

LABEL : Cohiba