ラモン・アロネス エスペシアリー・セレクテ。スペシャリー・セレクテッドでも良いが、このシガーは1930年代に生まれ、1972年に一度廃盤となっている。1975年に若干のサイズ変更を行い復活し、現行のビトラとなったという歴史のあるシガーだ。現在は25本入りの化粧箱、25本、50本のSLBで販売されている。
サイズはRG50×124mm、ビトラ・デ・ガレラ：ロブストス（ビトラ・デ・サリダ：ロブスト）。

シガーは化粧箱よりキャビネット、キャビネットなら25Pより50P。箱は大きい物の方が良い。中に多くのシガーが密集されるからだ。
一本取り出して香りをかぐ。むっとするような強いタバコ香が鼻を突く。唾液がじわりと出る、スモーカーを強烈に誘引する香り。
ラッパーはコロラド・クラロで、にじんだオイル分で若干まだらになっている。
フットを吸うとドローはよく通る。

ヘッドをフラットカット。切断面からまた強烈なタバコ香。フットに火を回す。立ち昇る煙も濃いタバコ。
喫煙する。極めて強いウッドとレザー。香りそのままのボリュームたっぷりのタバコのテイスト。ベリーストロング。
ぐっと重たい喫味、とてつもなく濃い。小細工無用！とでもいうような苛烈な濃さ、ひたすらな濃さだ。
しかしがさつや無骨とは無縁で、濃厚なフルボディにはうま味がぎっちりと詰まり、ふと出てくる小豆のような甘さや歯が痺れるような花蜜の甘さにも驚かされる。
2センチほどで灰を落とし強喫煙すると、綿菓子のような感触と味の煙が口腔に押し入り、アフターに爽快なレザーを残す。
 

胸のあたりに強烈なキックを放ってくる。人によっては1本もいかないうちにヤニクラするのではないだろうか。そんな事を考えながら吹き戻すと一転優しい表情を見せ、スモーカーは右往左往させられる。
コーヒー豆、漉し餡、酸味のあるサクランボなど様々な表情と変化に翻弄される。

青草っぽさを感じさせつつ、終盤にはまたムクムクとタバコ感が存在感を増し、複層的な味わいにまた立体感を広げる。吹き戻すと桃のような潤いを見せ、最後まで飽きさせない。

50分で喫了。
全体を通して非常に強い喫味が印象的。ボリバーやベゲロスとはまたベクトルの違う強さで、パルタガスに共通する物がある。
充実のタバコ感、コストパフォーマンスも高く、強い葉巻が好きならば一箱は手元に置くべき。