Hoyo de Monterrey Doubule Coronas '17

2017-12-31


 

オヨ・デ・モントレイ ダブルコロナ。オヨのスタンダードラインで最も巨大なビトラだ。1960年代から作り続けられている、長い歴史を持つシガーだ。
サイズはRG49×194mm、ビトラ・デ・ガレラ:プロミネンテス(ビトラ・デ・サリダ:ダブルコロナ)。
25本入りドレスボックスと、50本入りSLBが現行で販売されている。リボンで結ばれたダブルコロナが50本の偉容は凄まじいので、スモーカーは一度見る事をおすすめする。比喩ではなく涎が湧き出る。
古くはカホンと呼ばれるキャビネット100本入りが存在していたようで、1960年代に生まれていたかった。

この一本はドレスボックスから。やはりダブルコロナのカマダは壮観だ。何ともいえない無敵感がある。
一本取り出してよく観察する。
スタンダードなラインで最大クラスのサイズなので、一般的にダブルコロナの品質は高い。
ラッパーはきめ細かい葉が使われており、不細工な凹凸や葉脈はない。さらりと絹のようなタッチだ。カラーはコロラド・クラロ。上級のトルセドールが巻いたことがひと目で分かる。
香りはウッドをベースにしたタバコ香。フットからはさらに香り立つ。
フットを吸ってドローをチェックする。ダブルコロナで固いドローは地獄だ。しかし巧い職人しか作れないビトラなので、外れは少ない(外れたらそれはそれで仕方がないと諦めよう。葉巻とはそういうものである)。
ヘッドをフラットカット。カット面からは色濃くタバコ香が放たれる。フットを咥えて吹き葉くずを飛ばし、ヘッドを咥えて空吸いする。

着火すると、馨しいわずかに甘めのウッドが立ち昇る。
喫煙する。
砂糖?と思うほどのサラッとした感触の甘みが吹き抜け、馥郁たるウッド。新鮮な喫感。
ブドウ糖、杉の鉋屑、乾いたライム、わずかなレザー。白墨のニュアンス。細かな味の断片が無数に結びつき、広大で複層的なテイストを作り出している。喫味はライト。
ライトだが、軽薄という意味ではない。
コク・うま味ともに非常に太く、関西出汁の料理のような舌に直接響く強さがある。帯のように広がるアロマもライトだが、はっきりとウッドの主張がある。

 


3センチほどで灰を落とし強喫煙する。
完全燃焼でクリアな杉材のキリッとした喫味が噴出する。長いサイズのシガーを、このように吸い方で喫感を変えさらに変化を味わうことはスモーカーに許された楽しみだ。ハバノスはそれを必ず柔軟に受け止めてくれる。

きゅっと締まったタンニンが現れ、中盤にさしかかったことに気付く。
ブローすると濃くカシューナッツが現れ、ドライイチジクのような風味が舌に残る。
煙は濃厚で煙量多く、とろっとしたタッチだが滑らか。それでいてアフターは長い。
ところどころスパイスが現れ、そのアクセントにさらに誘われるようにスモーキングが無限に進んでいく。

気がつくとあんなに長かったシガーはリングまで辿り着いている。
終盤は全粒粉のビスケットのような風味。スパイスは徐々に主張を強くし、はっきりとホワイトペッパーの輪郭が現れる。ブローを繰り返すと、澄んだミントが現れてシガーを締めくくってくれた。

100分で喫了。
大きいことはいいことだと単純にすますつもりはないが、このシガーには畏敬を払わずにはいられない。
間違いなく吸うべきシガーのひとつだと言えよう。

LABEL : Hoyo de Monterrey