Romeo y Julieta Wide Churchills '17

2018-07-09

2010年、ワイドチャーチルは鮮烈なデビューを飾った。
130ミリの長さに、55という驚きのリングゲージを備えたビトラは、ハバノス・フェスティバル参加者に喝采をもって迎えられた。
今日のシガーの主流である、短めで太めの「ごんぶと」シガーはこのシガーからはじまったといっても過言ではない。

ショートチャーチルから始まり、ワイドチャーチル、ペティチャーチルと次々と新製品を送り出したロメオ・イ・フリエタの挑戦は、はたして成功した。
世界的に潜在していたショートスモーク需要を掘り起こし、一気に売上を高め、Habanos S.A.で長きに渡り販売数ナンバーワンだったモンテクリストをその座から引きずり下ろしたのだ。それは、また新しいハバノスが始まった瞬間だった。

その立役者のひとつであるワイドチャーチル。見ないシガーショップは稀だろう。
サイズは前述の通り130mm×RG55、ビトラ・デ・ガレラ:モンテスコ(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト)。ずんぐりとしているが迫力のある体躯、まさにウィンストン・チャーチルを彷彿とさせる。
通常のロメオのリングに加えて、金の「Wide Churchills」リングが特別にあしらわれている。
パッケージングは化粧箱で25本と10本、チュボス入りで3本を収めたカードボード・パックがある。

箱から一本取り出して香りをチェックする。
柔らかいレザーと馥郁たるタバコ香。
コロラドの表面は適度にオイリーでスモーカーの喫煙欲をくすぐる。だがこのラッパーはチャーチルの名を冠するには役不足だ。このあたりの質の低下は最近のハバノスの課題だろう。

ヘッドをフラットカットする。シザーでないと文字通り歯が立たないリングゲージ、これが最近の潮流。
ドローチェックは必要ない。ドローの悪いワイドチャーチルは見たことがない。
フットに火を灯す。甘い煙がいっぱいに立ち込める。
喫煙する。
軸はレザー。鳥の胸肉のような軽快なタンパク質感、浅くコーヒー、シダー、シロップ、小麦菓子。そしてほんのりとビター。ミディアム。
すべてがうまくバランスし、絶え間ないハバノスのテイストの変化の中でも、それが崩れることはない。これがロメオ・イ・フリエタのキャラクターだ。
それを大口径の圧倒的な煙量で楽しめ、なおかつ破綻がない。ワイドチャーチルの素晴らしい点だ。

 



強喫煙するとチョークと白粉の風味が楽しめ、アフターも長くなる。
中盤、強いコクと旨味を楽しんでいると喫味がやや強くなる。
ナッティーさが加わり、チョークが強調されてくる。
ブローすると花蜜と白粉が、太いRGも相まって暴力的な量が流れ込んでくる。しかしそれは不快ではない。快なり!

終盤はレザーが太く存在感を増す。
ブローすると爽やかなウッドが吹き、口腔をリフレッシュする。
テイストは複雑さを増し、リングゲージが大きかろうとハバノスの真骨頂である味わいの変化はしっかりと感じ取れる。
レザーとナッツのバランス、ほんのり感じるスパイシーさとビター。一体化したその旨さはロメオと呼ぶにふさわしい。

80分で喫了。
太さから敬遠されることもあるビトラだが、一度手に取ればヘビーローテーションになることは間違いない。きっと隠されたハバノスの意図が汲み取れるだろう。

LABEL : Romeo y Julieta