Punch Double Coronas '05

2018-07-20

1840年代に生まれた由緒あるブランド、Punchの最大サイズのビトラであるダブルコロナ
最も多くの原料と、最も熟練した職人が必要であるこのビトラは、各ブランドのマスターピースといっても過言ではない。(最も高価な原料であるラッパーの歩留まりを考えれば、下手な職人に任せることなどできないのだ)

過去には100本入りのカホンから、50本入りSLB、変わり種のセロファン25本入り、10本入りなども存在したが、現在は25本入りのドレスボックスしか存在しない。

一本取り出してシガーをチェックする。
大きく使われたなめらかなラッパーはオイリーさを保っており、その手触りでわかる。香りはタバコとレザー。リングは完全に変色している。
フットを吸ってみるが経年変化で葉が痩せ、ドローは申し分ない。ヘッドをフラットカットし、フットに火を灯す。

立ち上る煙は、甘めのウッド。喫煙する。
すももを感じさせるようなほんのりとした酸味と、レザー、ウッド。
五原味を完全にバランスさせたような感覚。瞬間瞬間で違う表情を見せ、どれもが低減したり増幅したりを繰り返し、僅かな間隔でも変化を繰り返すそのさまにただただ驚くばかり。チョーク、アーモンド、エスプレッソ。
旨味が強く、コク深い。ミディアム。


中盤、無限を思わせるテイストの中からひときわ太く主張してきたのは、レザー、ビター、ウッド、そしてレモンクリーム。
長大なビトラは複雑に重なり合った味わいを作り出し、その立体感、積層、奥行きは喫煙を進めれば進めるほど大きくなっていく。
ブローすると白粉を思わせる華やかな風が吹き込み、スモーカーを官能の極地へ追いやる。

終盤、広葉樹の枯れ葉の焚き火感が強まる。
ラムのような発酵感、鶏肉のようなタンパク質感。葉巻が短くなるにつれブーケも強く。
印象としては、終わりに近づくほど華やかなタッチになっていく。
モカ、乾燥シイタケ、古い新聞紙。終局まで何のエグミも渋みもなく、散華する。

80分で喫了。
最初は多くの喫感を広げバランスし、そこから徐々に華やかに羽化するさまは瞠目。
パンチの最上級に位置するビトラ、腰を据えてじっくりと取り組むとブランドの真意が汲み取れる。

LABEL : Punch 【Aged】