Quai D'Orsay Superiores 2011 ER Asia Pacifico

2018-10-26

2011年はケ・ドルセーからエディシオン・レヒオナルが初登場した記念すべき年だ。しかもふたつ。
ひとつはフランス限定ロブスト・エンバハドール。そしてもうひとつはアジア限定のこのスーペリオレスだ。
同年に同じブランドから複数のERが出るということも異例だが、ハバノスの意図は不明だ。

さて、スーペリオレスという名のシガーは多いがケ・ドルセーのスーペリオレスのサイズはRG50x124mm、ビトラ・デ・ガレラ:ロブストス(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト)。25本入りSBNで2400箱が生産された。
開封すると、旧ケ・ドルセーの一色刷りの簡素なリングとERのダブルリング。ブランドリニューアルした見慣れた新ケ・ドルセーと比較すると、逆に新鮮な感じがする。リングは旧ケ・ドルセーと同じ外見だが、ERのものはつや有りの紙を使用している。
香りはほのかなウッドをまとっている。表面はやや濃い目のコロラドで、ラッパーはお世辞にも上質とはいえない。ヨーロッパ圏ER、特にイギリスと比較すればきりがないが、アジアERはそれに比べて杜撰なところが目立つ。

閑話休題。
ヘッドをフラットカットし、フットに火を灯す。
サトウカエデのような甘い芳香が広がる。
喫煙する。熱で溶ける綿あめ。

底に広く流れるウッディーさを割り箸に見立てれば、どう考えても綿あめのそれだ。ともすれば砂糖のジャリジャリした歯ざわりすら錯覚するほどの糖を感じる。ナツメグ、白粉、ヒヨコ豆、陳皮。
ライトだが、薄さなど微塵も感じずむしろ押し寄せる各テイストがはっきりと把握でき、たじろぐばかりだ。
灰を落として強喫煙すると小気味いいホワイトペッパーが顔を出し、喫感がドライへとガラリと変化する。素晴らしい。


ボディ自体が淡いので、テイストの微妙な変化がとても分かりやすい。
中盤は序盤から気持ち濃いめに変化し、ウッドが太くなる。甘さは酸味のあるコーヒーへと徐々に移り、ブローすると澄んだ白粉が鋭く注いてくる。立体的な構成が喫煙に没頭させる。

ERリングを外し終盤、爽やかな花と蜜の甘み。
きのこ類のタッチや、タンパク質のような旨味も感じる。終盤にかけてこのような旨味成分的味わいが拡大し、口腔と脳がお祭り状態になる。

40分で喫了。
アジアERに期待するところは(比較対象が強いので)あまりなかったが、これは名品だった。
淡いケ・ドルセーの特徴の中で、素晴らしいテクスチャを併せ持つ。
旧リングはお目にかかる機会がなかなか少なくなってきたが、ケ・ドルセーとしてもERとしてもこのシガーは自身を持って美味いと言える品だ。

LABEL : Quai d'Orsay 【Edicion Regional】