San Cristobal de la Habana 20 Aniversario '19

2019-03-19

ハバナ市の歴史的名称はサン・クリストバル・デ・ラ・ハバナという。もちろん、ハバノスのSan Cristobal de la Habanaはここから名付けられた。
そもそもが、この名称はハバナ市の守護聖人である「キリストを背負うもの」聖クリストフォロスの名を頂いて命名された。クリストバルはクリストフォロスのスペイン語読みである。
聖人の名を街につけるのはヨーロッパではポピュラーだが、ご多分にもれずキューバも元はスペイン領だったのでそのケースのひとつだ。

San Cristobal de la Habanaも、1999年にブランドが設立されてから20年。20 Aniversarioはそれを祝うビトラとしてLCDH用に作られた。
サイズはRG52x162mm、ビトラ・デ・ガレラ:カプレト(ビトラ・デ・サリダ:ダブルロブスト)。2013年のEL、Romeo y Julieta De Luxeと同じビトラである。
20本入りで、宝箱のような外見の特別な箱に収められている。

葉巻をよくチェックしてみよう。
臙脂のLCDHリングが巻かれている。サン・クリストバルのLCDHはハバノス・スペシャリストとのダブルネーム、プラドを含めて6本目だ(ムラーラ、メルカデレス、オフィシオス、トレオン、プラド)。
ラッパーはコロラドで、きめが細かい非常になめらかな素材を使っている。若々しい杉の芳香を放っている。
触るとあまりオイリーさは感じられず、中身がみっしりと詰まって表面が張りつめているのがよく分かる。

ヘッドをフラットカット。刃の感触で、やはりぎっちりとリーフが組まれているのがわかる。
フットを焦がすと、ベビーパウダー状の香りが漂った。
喫煙する。
元気な杉の大木がめりめりと根を張り巡らす。
ベースは甘みとウッドだ。ミディアムライト。オレンジピールの精油、小麦の皮、白粉。程よいビターのアクセントが効いている。
しかし、この煙のもつ蜂蜜状の芳香はなんだろう?非常にリッチなアロマだ。
強喫煙すると、こってりとしたコクのある蜂蜜がどろりと垂れてくる。


タバコリーフがかなりの密度で充填されているのでゆっくりを心がけて喫煙する。このように密度の高い個体を普通の感覚で吸い進めると、フィラーだけ燃え進みヘッド側を頂点とした鋭角のV字型に燃え進んでしまう。
中盤はパワフルだが抑制のきいたタバコ感が楽しめる。葉巻内部が蒸れてきて、テイスト渾然一体となる。
白粉が前面に立ち、その超微粒子のパウダー感と少しのスパイスに陶酔する。
リングゲージも大きいので、豊富な煙に抱かれ充足感がこの上ない。柑橘類のテイストはやや後退し、ウッドが広がってくる。

終盤は颯爽とホワイトペッパーが立つ。
チェリーの甘味と酸味、ボリュームのあるチーク、硬い質感まで感じられそうなクルミ。
テイストに立体感があり、重厚かつ軽やか。この矛盾する特性をなんの破綻もなく持ち合わせるのがハバノスだ。

90分で喫了。
2019年のフェスティバル・ハバノスで公開されたシガーたちは、皆パッケージングが凝っているので一般に広く流通するのかが気がかりだ。
もし入手できるのならば、迷わず手に入れるべきだ。

LABEL : San Cristobal de La Habana 【LCDH】