Bolivar Británicas 2011 ER Gran Bretana

2024-12-05

ボリバー ブリタニカスがリリースされたとき、シガー業界は驚いた。
よく言えば伝統的、悪く言えば古臭いハバノスのパッケージデザイン全般は、ここから舵を切ったことになる。
セミ・ボワト・ナチュールのサイドに大胆に貼られたボリバー将軍の肖像のシール。今までの形が決まったHabanosのボックスからは想像できない。
今でこそ様々なデザインがイメージを競い合っているが、少し前まではこれぐらいでも目を奪われるうような地味なデザインばかりがハバノスだったのだ。

華美で豪奢な外観は伝統的なハバノスには相応しくない、と批判する懐古主義者もちらほらいたが、常に変革が行われなければブランドは簡単に歴史に消えてしまう。
むしろハバノスは絶えず変化してきたと言っていい。それがたばこの世界の王座に君臨し続けてきた理由だろう。

さて、そのSBNに10本が入るブリタニカスのサイズはRG48x137mm、ビトラ・デ・ガレラ:ブリタニカス・エクストラ(ビトラ・デ・サリダ:ペルフェクト)。3000箱限定でイギリスで販売された。

ウッドの香りが支配的で、レザー。乾いた樽香を感じる。コロラド・マデューロ。
巻きは美しく、難しいシェイプを破綻なく仕上げている。Bolivarとエディシオン・レヒオナルのリングのコントラストが語りかけてくる。

ヘッドをフラットカットしてフットに火を灯す。ドローはかなり通る。
乾いた杉の焚き木。
喫煙するとビターとレザー、ウッドの塊が強烈に口腔を撃つ。
しかしファーストタッチの荒々しさから一変、すぐに穏やかになり野太く締まったレザーとアーシーを堪能する。
ずっしりと重量感のあるスモークだが、硬かったりきつかったりという事はない。
力強くあるが干し椎茸のようなうま味とコニャックのコクが来る。ストロング。
深煎りのコーヒー、黒土、アーモンドの皮、煮詰めたカラメル。

製造当初はかなり重々しい印象があったが、10年を超える熟成で角が取れたか。
空気と水と菌の働きにより、たばこの持つ成分が芳香と豊かな味わいに醸されている。

中盤は鼻を通るブーケが素晴らしい。強烈で目の覚めるような力強さだ。
炊いた米のような奥の方に甘みがある穀物感と、強いレザーが味蕾を刺激する。
ほとんどアルコールを感じるようなコニャック感に陶酔する。
ペルフェクトのビトラは口の収まりもよく、ストレスなくどこまでもスモーキングを楽しめる。

ボリバーは熟成の伸びしろが高いのは理解しているが、驚かされる。終盤はブローすると味わいは薄くなり霞のような煙になる。面白い。
だんだんと白粉っぽいニュアンスを感じ始めつつ、それより先にいかない……という感じ。
強さはだんだん解けて、むしろ優しい柔らかさを感じる。パンの耳のような穀物感とレザー。

50分で喫了。
最後まで感情を動かされるダイナミックさ。名作だ。
何度でも言うがイギリスERはものが違う。今はもう見ることはないシガーとなったが、熟成を経た楽しみを味わえるのは手元に置いていた者の特権だろう。

Cuabaでも同ビトラのブリタニカス・エクストラが2019年に発表されたが、まだ発売まで行っていない。比べるものでもないだろうが、大変楽しみだ。

LABEL : Bolivar 【Aged】 【Edicion Regional】