Romeo y Julieta Clemenceaus 50s

2015-06-03

 

ロメオ・イ・フリエタ クレメンセアオス。フランス読みだと「クレマンソー」。第一次世界大戦時のフランス首相ジョルジュ・クレマンソーにちなんで名づけられた。

そう見ると、ロメオ同サイズの「チャーチル」と比較させると面白い。
サイズは47×178、フリエタNo.2(チャーチル)。プリンス・オブ・ウェールズ、チャーチルと、ロメオには同サイズのビトラが3種類あった。そう、「あった」というのが正しい。
プリンス・オブ・ウェールズは2002年に、クレメンセアオスはおそらく1989年にディスコンになっている。素晴らしい幸運で希少なこの歴史の証人ともいえる葉巻を入手できた。
作られたのはキューバ革命のさなかかそれ以前か。60年近くを経た葉巻を手に取る。形はボックスプレスで四角くなっており、ラッパーはバインダーからやや乖離しているように見受けられる。リングの辺りでラッパーが弛んでいるのだ。コロラド・クラロ。手触りはごく薄いラッパーがしっとりとしている。まだタバコ葉の香りをかすかに放っている。
 
ラッパーの状態からカットは大口径のパンチカットにする。着火すると、焦げた広葉樹の枯葉の香り。これは、ダメか?さすがに重ねた年数を考えると、完全に死んでいても不思議はない。残念だが、仕方がない……1cmほど吸い進めると、しっかりとしたタバコの味!
 
 
古木の芯をヒビが入るまで燃焼した香り。古い日本家屋を彷彿とさせる。メロウな、ややビターな感じ。喫味はミディアムフルだろうか、チャーチルとプリンス・オブ・ウェールズの間くらいだ。
しっかりと口腔奥に感じるタバコ感。灰のホールドは非常にいい。驚愕した。
 
灰皿に置くと4cmほどで灰が落ちたので直接味わう。乾燥した朽木のような旨み。注意するとほんの少し木質の甘み。ガス香。灰は、中まで真っ白だ。
中盤を越え、内部が蒸れてきた。確かにロメオ系のテイスト。やや散漫だった味わいの輪郭がくっきりと浮かび上がってくる。歴史が目を覚ましてきた。
息を吹き返したかのようにパワフルに攻め立ててくる。背景にはビター感。驚きが終わらない。
 
 
忘我の境地から我に帰ると、葉巻は終盤にまで達していた。香ばしいビターが溢れてくる。しかし、苦いわけではない。
最後の1cmまでどっしりと重厚な味わいは続く。ハバナシガーの奥深さは底知れない。110分で喫了し、灰皿に置いた。
うまく外せたリングを弄ぶ。どうやら普通のリングではない。金地に黒文字のリングだが、光沢が粒子状なのだ。白本を見るにどうも青銅を使っているらしい。ブロンズ色に鈍く輝くリングが栄光のキューバを静かに語りかけてくる。

LABEL : Romeo y Julieta 【Aged】