Vegueros Marevas 90s

2015-06-03

 

ベゲロス マレバ。ベグエロスでもいいと思うがこちらのほうが発音が近いだろう。短いし。

ベゲロスの特徴は最高級のタバコ葉の名産地であるVuelta Abajo(ブエルタ・アバホ)で収穫された葉をPinar del Rio(ピナ・デル・リオ)で巻いていることにある。なので、厳密に言うとハバナシガーではない。(そんなことをいちいちツッコむ人はいないと思うが……)リングに「Habana」ではなく「Pinar del Rio」とあるのもこれが理由だ。

 

1997年にリリースされた新しいブランドだが、惜しいことに2012年にブランド自体が廃止となった。
それ以前から市場に出回る数が非常に少なくなっており、値段帯も安かったのであっという間に消えてしまった。
 
さて、マレバである。サイズは42×129、マレバス(ペティコロナ)。5本入りのペーパーパックのみでのリリースだ。ペーパーパックにはよくあるが、香りは飛んでいる。
全体的に作りはやや荒い。ヘッドの辺りが葉脈でボコボコと波打っており、全体的にもごつごつとした手触り。
ラッパーはコロラド・クラロ。リングの緑色が強烈なイメージなので、なんとなくキューバシガーっぽくないイメージを受けるかもしれない。フラットカットで。ドローはよし。
 
喫味はミディアムフル。着火直後から感じる、仄かな甘み。薄いミルクのようだ。
しかしそれはすぐ消え、湿った黒土に変わった。
そんなものあるはずもないが、その黒土を絞りに絞って落ちた一滴が喉の芯に当たると、甘い。そんなイメージを受ける。
甘みは不意に現れ、次の瞬間には消えている。
2センチ程で灰を落とす。鼻を突く強い黒土、口中に濃く残る乾いた青草。背景には、感じ取れるギリギリの甘みが顔をのぞかせている。
夏、まだ青々とした草原を野焼きにする情景が浮かぶ。
 
 
中盤まで吸い進めると、なんとあの化粧香の片鱗が現れてきた。
香水のような、化粧品のような、薔薇のような。La Gloria Cubana Medaille d'Or No.2 '98に感じた薔薇とまではいかないが、化粧品の香り。驚いた。マレバがこうなるとは。
最上級のビンテージシガーにも劣らない、馨しい煙を鼻から抜くとえも言われぬ至福を感じた。陶然。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと燃焼させる。
終盤、化粧香はゆっくりと収斂し花と小麦粉に変化した。60分の最後の瞬間、黒ぶどうの皮がふわりと立ち昇って消えた。
 
クラシックサイズが多いブランドで、Pinar del Rio産。他にも色々と特徴のあるブランドだが、終わってしまったものは仕方がない。
元が安価な葉巻なので、多少値が上がっていても市場で見つけたならばおさえておきたい。そんな葉巻。

LABEL : Vegueros 【Aged】