Davidoff Winston Churchill THE STATESMAN '15

2015-11-09

ウィンストン・チャーチルはダビドフのブランドラインのひとつだ。

もちろん、その名前はかの有名なイギリス首相チャーチルからきている。

このシリーズはサイズごとに、そのイメージに合うチャーチルの一面から名前を取っている。

アーティスト(画家・ペティコロナ)、アリストクラット(貴族・チャーチル)、ステーツマン(政治家・ロブスト)、コマンダー(司令官・トロ)。こんな具合だ。

特徴として、多くの国のタバコ葉をブレンドして使用している点が上げられる。引用すると以下のようなものになる。

 

ラッパー :エクアドル(ハバノ エクアドル ロヒーサ)

バインダー :メキシコ(ネグロ サン アンドゥレス)

フィラー :ニカラグア(エステリ セコ、コンデガス セコ)、ドミニカ(ピロート メホラド セコ、イブリド オロール・ ピロート セコ、ピロート セコ)

 

「セコ」はタバコの木の中間あたりの葉を指す。タバコ葉は葉の位置によって味わいが変わるが、セコは最もバランスのとれたテイストの葉だ。このブレンドが一体どのような味わいを表現するのか、楽しみである。

 

さて、ステーツマンである。セロファンから取り出して観察する。

ラッパーは赤みを帯びたマデューロ。表面にソフトな弾力がありオイリーだ。白いリングとの鮮やかな対比がとてもよく映える。

揮発する油分とブレンド葉のえも言われぬ複雑な香りに、喫煙前から味蕾が刺激される。

サイズは133mm×21mm、ロブスト。

 

フットを吸うと、ドローは通る。ヘッドを浅くフラットカット。切断面に鼻を近づけると、さらに鮮烈なタバコ葉の香り。

 

フットにターボライターの火を当てる。焦げ感を伴った豊潤な木の香りがいっぱいに立ち昇る。

じゅうぶんに火が回ったところで喫煙する。甘み。

甘みである。ファーストタッチは、いままでのダビドフで感じたことがないタイプのストレートな甘みだった。そして押し寄せるハニー、ウッドチップ、ブラックコーヒー。根元にあるのはレザーだ。それがテイスト全ての間を橋渡しし、複合した個別の味を橋渡ししひとつの立体的な構造に仕立てあげている。

シルキーな煙。たっぷりとした煙量。コクが深い。ミディアムボディ。

ダビドフ特有の、雪のように美しい繊細な灰を落とす。強喫煙すると、ナッツ、ペッパーのニュアンスが出現する。

ブレンドされたタバコ葉は完全な融合を見せている。ニカラグアとドミニカのブレンドフィラーは落ちついた喫味の中にも鮮烈な旨みを内包している。

バランス感覚と技術が成すこのクオリティは、さすがのダビドフと唸らざるを得ない。

 

アフターに口腔にいつまでも感じる胡桃とグリーンペッパーの心地よいニュアンス。

いつの間にかリング間際の終盤に達している。

吹き戻すとじわじわとナッツが広がり、葉の旨みとともに口腔から喉、そして全身に行き渡るのを感じる。リラックス。弛緩する。

 

60分で喫了。

複雑なブレンドはダビドフ・マジックで1本のシガーとして融合し、喫煙を進める中でひとつひとつ紐解いていくのはとても面白い。

味わいもアロマも申し分なく、新たなダビドフのラインとして非常に価値あるものだ。

LABEL : Davidoff