H.Upmann Magnum 50 '13

2019-02-07

アップマンのマグナムシリーズ、マグナム50である。
いくつかシリーズがあるが、数字はリングゲージを表している。このマグナム50は2005年のエディシオン・リミターダからスタンダードラインとなったものであり、他のマグナムシリーズもいくつかELからの展開となっている。アップマンの看板ラインといっても差し支えないだろう。

サイズはRG50x160mm、ビトラ・デ・ガレラ:ダブル・ロブストス(ビトラ・デ・サリダ:ダブル・ロブスト)。P10とP25のSLB、そしてP3チュボスの形で提供される。
過去には50CABも存在したが、2012年に廃止となっている。
2008年にリリースされたので、現行以前の古いリングのものはない。

ヘルマン・アップマンの通常リングの下に、このビトラのみである「MAGNUM 50」の赤いリング。当初はスペシャルシガーとしてのリリースだった。
シガーを観察してみる。
コロラドラッパーは質が高く、非常になめらか。オイル分はやや控えめだ。葉脈は少なく、ヘッドのキャップもしっかりとした仕事を感じさせる。
香りはアップマンのテイストの基幹をなすウッドが強い。

フットを吸いドローをチェックし、ヘッドをフラットカット。
今度はフットをくわえて吹き、粉を飛ばす。あらためてフットに火を回す。

立ち上るのはアップマン特有の、控えめだがバランスの取れた淡い甘めのウッド。
喫煙する。
優しい。バランスの取れたウッドは軽やかで、ロメオよりも口当たりが柔らか。全粒粉パン、薄く柔らかい鞣し革、濃いセイロンティー。若く硬い桃。シガーというより、コンチネンタル・ブレックファーストだ。ミディアムライト。


強喫煙すると、さっと白粉の風が通り過ぎ、カシューナッツの余韻が長い。アロマも素晴らしく、コク・うま味も申し分ない。
軽やかだがテンポの良い喫煙を邪魔しない、ほどほどのボディ。それによりなんのストレスもなくスパスパと進む。中盤、テイストはよりふっくらと発酵感を増し、より強くナッティーが花開く。
冬の針葉樹を使ったの暖炉。カラッとしたウッド。ハバノスの持つ円熟感がピークに達する。このトースト感……!

リングを外して終盤、レザーの主張が強まる。
小麦感はややおさまり、軽くホワイトペッパーが顔を出す。
ブローするとさらっと甘みが滴り落ちる。サツマイモの蜜状の甘さだ。
輪郭が掴めそうなほどはっきりしたレザーを感じ、70分で喫了。

終始軽やかなタッチだが、霞んで見えないというわけでもなく、しっかりとした存在感があり出しゃばらない、絶妙なテイストだ。
見た目のインパクトであまり手が出ないビトラかもしれないが、デイリーでもぜひ吸っていただきたい秀逸なシガーだ。

LABEL : H. Upmann