Romeo y Julieta Wide Churchill Gran Reserva Cosecha 2009 '15

2019-12-31

2013年に名門Romeo y Julietaからはチャーチル・レゼルバが登場した。
グランレゼルバではない?シガー業界に動揺が走った。Romeo y Julietaといえば、一も二もなくチャーチルがグランレゼルバに選ばれると、誰もが考えていたからだ。
では、グランレゼルバには何がなる?順当にいけばピラミデスか?それとも古いビトラのリバイバルか?
2015年に発表されたのは、ワイドチャーチル。みな喝采を叫んだ。

Habanos S.A.における長年の売り上げトップのブランドであるモンテクリストが2位に陥落したのは、ロメオ・イ・フリエタの人気拡大によるものだ。それはワイドチャーチル、ショートチャーチル、ペティチャーチルなど充実したユニークなショートスモークを揃えたからに他ならない。
その躍進の立役者たるワイドチャーチルが、発売から5年でブランドの「顔」になった。
今まで皆その兆候は確かに感じていたが、シガーの新しい時代が来た!と完全に意識した。それがこのグランレゼルバの登場だった。

パッケージは他のグランレゼルバと同じ、15本入りのブラックラッカー・ボワト・ナチュールに収められている。
生産数は5000箱。箱には通し番号のプレートが蓋内側に取り付けられている。
なんといっても目を引くのは金と黒のGRリング。ひと目で他と違うというアピールが見て取れる、強い目印だ。ちなみにGRリングはワイドチャーチルの金リングと一体化しているので、このシガーはダブルリングだ。トリプルリングまではモンテクリストのラ・リネアまで待たねばならない。

一本取り出して観察する。
ラッパーは非常になめらかで通常のワイドチャーチルと一線を画す品質。
香りはふくよかなタバコ香で甘さを奥に感じる。そしてそそるダブルリング。
サイズはRG55x130mm、ビトラ・デ・ガレラ:モンテスコ(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト)。このあたりは通常の品と一緒だ。

ヘッドをフラットカット。リングゲージが大きいのでシザーでないと歯が立たない。
広いフットに時間をかけて火を回す。
湧き立つ煙。美味い!甘いとかそういうのではなく、香りが旨い!
喫煙する。美味至極。
どこまでも広がるウッドを背景に、それを背骨に、同時に様々なテイストが存在している。
あちらではレザーとビターが輪をなし、こちらではカカオとアーモンドが融合している。
キノコの出汁。ミルクキャラメルの甘み。オールドコニャックのコク。きつい旨み。連続して爆発し続ける白粉。ミディアム。


Romeo y Julietaの軸となるテイストやワイドチャーチルの輪郭を感じるが、全てが規格外の高さに引き上げられている。
RG55からの麻薬的なスモークは、法律で禁じられないか心配になるほどである。灰を落とし強喫煙するや、その勢いに総毛立つ。

やがて豆類のような旨み。チョコチップクッキー。リングを外し、深く吸い込むと忘我に陥る。
雪崩を打つような出汁の旨みに、じんと痺れる。
ふと気づくとすでに2つ目のリングに差し掛かり、もう終盤である。
もう?グランレゼルバには「まだ」はない。
短くなっても少しも不快なテイストは現れず、味覚は次から次へと現れる味わいを感じとる。探す、ということは必要なくそれぞれがはっきりとクリアなので自動的に感じる。干し椎茸、白粉、ベリーの入ったチョコケーキ。フローラル。
そして訪れた終焉には、ビターキャラメルが口の中に転がった。

60分で喫了。
なんといってもその大きなリングゲージからあふれるスモークの量、それがグランレゼルバであるというところだ。これは純粋な暴力だ。

グランレゼルバは75000本しか生産されない。
それは少なすぎる、といつも思うが、喫煙するとそれでもいいかな、と考えてしまう。
これがいつでも吸えるとなると、人類は確実に駄目になる。

LABEL : Romeo y Julieta 【Special】