Partagas Serie D No.1 Edicion Limitada 2004

2020-09-24

セリーシリーズは元々1930年代から1960年代まで製造され、一度その歴史は止まっている。
70年代半ばから再び日の目を見ることとなり、今ではパルタガスのラインナップでも外せないものとなっている。
Habanos S.A.からはDシリーズはスタンダードからELまで広く展開しており、

D No.1:2004年EL
D No.2:2003年EL
D No.3:2001年EL、2006年EL
D No.4:1975年~スタンダードラインナップ、2005年レゼルバ
D No.5:2008年EL、2011年~スタンダードラインナップ
D No.6:2014年~スタンダードラインナップ
D エスペシアル:2010年EL

という流れになっている。
そのうちでNo.1は最も大きなビトラで、サイズはRG50x170mm、ビトラ・デ・ガレラ:パルタガス No.16(ビトラ・デ・サリダ:ダブルロブスト)。ELやERなど限定品にしか使われないビトラだ。
25本入りのドレスボックスで提供され、セリーリングをつけているがスタンダードな化粧箱に収められたうちのひとつである。

葉巻を観察してみよう。
2年の熟成が施されたマデューロラッパーは黒ぐろとし節くれだち、手に取ると滲み出したオイル分の残滓がカサカサと音を立てる。ボックスプレスされやや四角い体躯。仕上げは粗さが目立つ。このシガーだけのD No.1の赤いリングを纏う。
香りはブランド特有の甘さとタバコ香とレザーが一体になったもの。

ヘッドをフラットカット。切り屑を落とし、空吸いしてドローチェックし、フットに火を回す。
濃いタバコ香が立ち昇る。
喫煙する。古い日本家屋。控えめな甘さの黒糖、使い込まれた鞣し革、黒インク。
力強いタッチだが、グイグイくる濃さというより経年変化で骨太さがフォーカスされ、雑味が削ぎ落ちてうま味がズームしてくるような感覚。フル。
ニコチンなどが芳香成分に昇華した、ビンテージシガーのお手本のようなテイストだ。
灰を落とす。ほのかに漂う白胡椒、ドライフラワー、白檀がレザーの背景に佇み、広大な奥行きを見せてくれる。


中盤は黒インクがズームしてくる。
パルタガス特有の重たさは消失し、煙のテクスチャは軽やか。しかしそれだけに剥き出しの味と香りが感覚を刺激する。
カカオ100%チョコレート。針のように鋭くレザー。深いコク。ドライベリーっぽさもくみ取れる。

終盤。中盤からテイストの波は強弱をつけ高まってきているが、最大限に強くなる。
ブローすれば絹のようなタッチのスモークに白粉。一気に華やかさが増し、全く違う表情を見せる。
絡み合ったレザーとペッパー、その奥のカシューナッツ、エスプレッソ、古い羊皮紙。
余韻のフルーティなエステル香はワインを連想させ、非常に立体的だ。

70分で喫了。
ドライなタッチの中に無限のパルタガスの要素と、それが昇華した新たな味わいの発見がある。
長いセリーDとそこから発せられる豊かなアロマはパルタガスの別の側面を教えてくれる。
注意深くそれを観察すれば、このブランドについて新たな発見と至福の時間をスモーカーに与えてくれるだろう。

LABEL : Partagas 【Aged】 【Edicion Limitada】