La Gloria Cubana Taínos '09

2022-08-30

「タイノス」のビトラ・デ・サリダはすべてチャーチル。ビトラ・デ・ガレラはフリエタ No.2である。
ならば商品名もビトラ・デ・サリダもビトラ・デ・ガレラも全部同じ名前にしてしまえば良さそうなものだが、ここらへんがハバノスの難解なところである。
ビトラについての詳細な解説はこちら)

ラ・グロリア・クバーナのタイノスは60年代から2012年まで生産されてきた。
すべて10本入りだが、ニス塗りキャビネット、SLB、ドレスボックスと様々なレパートリーの箱で提供され続けてきた。
最後まで残ったのがドレスボックスである。

チャーチルなのでサイズはRG47x178mm。
箱を開ける。チャーチルが並ぶさまはやはり壮観だ。
こもったようなタバコの芳香。やや紙っぽさが移っている。弱いレザー。
色はコロラドで、ラッパーは経年変化で少し縮緬に近い風合いになっている。

ヘッドをフラットカットして、フットに火を回す。
乾いた杉の薪の焚き火。
喫煙すると、爽快な甘み。乳製品を思わせる甘味と酸味が突き抜け、一瞬脳が停止する。
背景にはウッド。柔らかな甘味を併せ持ち、軽快なタッチ。特筆すべきはそのアロマで、非常に豊かなブーケ。ミディアム。
乾いたレザーと乾いたウッドを微妙に変化しながら行きつ戻りつ、桃やい草、ハーブや紅茶のニュアンスをのぞかせる。

重層的で立体的な味わいはビトラによるものだろう。
太さがあればフィラーが多く使えるので、それだけ幅が大きく作れる。
強烈なうま味と豊かなコク。


中盤はトーンを保ったまま味わいは柔らかくなり、そのぶん香りがくっきり際立つ。
時間の経過だけでもひたすら流転するようにタッチが変化していくが、喫煙の強弱、つまり燃焼温度の違いでもはっきりわかる変化が楽しめる。
白胡椒、カカオ、石鹸、その輪郭は太い。

終盤に至ると、喫感が力強くなる。
ブローすると華やかなフローラル。ぱっと口腔が明るく色づく。
煙のテクスチャーも素晴らしく、確固たる実体を持っているようだ。ガス香、ハーブの石鹸。

70分で喫了。
すでに廃盤となって久しく、しかも人気のブランド、人気のビトラなので探すのは困難を極める。
しかし手にするチャンスがあれば、迷うことなく火をつけてほしい。その体験はスモーカーにとって忘れられないものになるだろう。

LABEL : La Gloria Cubana 【Aged】