Vegas Robaina Familiar '98

2015-06-03

 
ベガス・ロバイナ ファミリアールはロバイナの中でも一番とっつきやすいサイズだろう。
サイズは42×142、コロナス(コロナ)。なんと2012年にディスコンの運びとなってしまった。

 

コロナといえば葉巻の基本のサイズだとは思うが、どんどん少なくなっているのが現状だ。現行でぱっと思い浮かべられるものはもうモンテクリストくらいしかない。
気を取り直してファミリアールを手に取る。
香りを嗅ぐとレザー、土の香り。
ボックスプレスされたラッパーは硬く、葉脈は薄く少ない。キャップは厚く丁寧に巻かれている。
色はやや薄いコロラド。
 
フラットカットする。葉巻自体の感触は硬かったが、10年以上経っている葉巻はよくそうであるように、ドローは良好だ。
 
フットを焦がし着火する。ひと口吸うと、強烈な甘さ。
花蜜がまず舌を包み込み、そして黒土、木質の矢が突き刺さる。
目を閉じてひとつひとつの味わいを紐解く……ミディアムフルのそれは、蜜、カカオパウダー、黒土、ハーブ、レザー…
この中で伸びてくるのは何だろう?舌の付け根を刺激されながらたっぷりと煙を楽しむ。
 

甘みはまるで真昼の幻のように、すぐに消え失せた。夢のあとの苦い現実のように、口腔奥をビターが攻撃してくる。
ナッツ由来のようなテイストのビターさだ。それに変わらずアーシー、ウッディが追随する。
 
揮発系のビターは印象的だ。ビターな木質感、甘さを排除した苛烈なキューバンシガー。
ナッツは焦がした穀物殻になり、中盤以降にはビターの芯にわずかな甘みが一瞬顔を出す……
ひと際甘さが鋭く感じるのは、ナッツのビターで紙やすりのように舌を削られているからだろうか。
 
終盤、ビターは和らいでくる。
焦がしカラメルが顔を出したり隠れたりする中、一貫して土感が場を支配している。
コクや旨みは初盤の終わりごろからじわじわと盛り上がり、終盤の兆しに炸裂する。
残り3センチでもったりした喫感に突如変化し、とろっとした煙が口の中一杯に広がった。
 
60分で喫了。ビターとクリーミーさが飽和したあの最後の瞬間、もう一度味わいたい。

LABEL : Vegas Robaina 【Aged】