Partagas Botterills Specially Selected 50s

2015-06-03



Partagas Botterills Specially Selected、プレ・レボルシオナリア。
このビトラについてわかっているのはそれだけだ。白本にも記載はない。
白本にも情報がない葉巻はままある。が、葉巻もご多聞に漏れず百聞は一見にしかず。知識量より1本でも多く吸ったほうがためになる。

葉巻をよく観察する。ラッパーは黒ずんでいる。軽いマデューロだ。
サイズはおよそ40×145。名称不明。
表面はざらざらと節くれだっており、白い粉を散らしたような斑点が表面を覆っている。
シェイプはパレホっぽくなく、ヘッドに向かうにつれやや細くなっている。クラシックな形だ。フットは四角く、化粧箱で提供されていたことが分かる。
リングはぶかぶかだ。経年変化で痩せるとはいえ、この葉巻のリングではないのかもしれない。しかし、このパルタガスのリングは60年代よりさらに前、革命以前のものだ。
鼻を近づけると、長い月日が経った今なお芯から染み出してきているようなウッディが溢れている。



ヘッドはラッパーと完全に同一化している。昔風の巻き方だ。
ヘッドをカットした瞬間、かりんとうの袋を開けたような芳香を感じた。
気のせいかとフットを炙ると、黒糖の塊が顔を直撃した。
驚愕して喫煙する。黒砂糖。ごつごつした黒砂糖の大きな塊を口の中に突っ込まれた。
甘美な味わいに口腔が蕩ける。ミディアムフル。
……が、すぐに湧きおこる雲のように濃厚なウッディがそれを一掃する。ウッドは際限なく密度を増し、ついには香木となった。
灰を落とし強喫煙する。何かが弾けるように香木の芯に触れた。頭の中で火花が散る。

インクやホワイトペッパーのテイストが湧き出る中盤。
フィラーの灰が驚くほど白い。純白といってもよい。完全に枯れているが、旨みもコクも申し分ない。内部が蒸れてくるにつれて若々しいとまで言える濃ゆいウッディが攻め立ててくる。

ビターが押しつぶしてくる。
煙を吐いたあと鼻呼吸して口腔内の空気を味わうと、湿布のような強烈なミントを感じる。
個人的には30年は経っていないとビンテージとは呼ばないが、現在吸えるビンテージは全て「ビンテージ」という名称から受けるイメージとは程遠い。

60分で喫了。
古い葉巻をやたらと持ち上げる気は毛頭ないが、こういったものに触れると昔のシガースモーカーには嫉妬すら覚える。

LABEL : Partagas 【Aged】