Montecristo Habanos Añejados Churchills '15

2015-12-25

ロメオ・イ・フリエタともうひとつのアネハドス、モンテクリストだ。

ロメオがアネハドスにピラミデスを用意してきたように、モンテクリストもブランド初のビトラとしてチャーチルを出してきた。そう、モンテクリストに過去にチャーチルは存在しない(驚きだ!)。

サイズは47×178、フリエタNo.2(チャーチル)。25本入り化粧箱で提供される。

 

鼻を近づけると、ふくよかなウッドの香り。木とたばこ葉の芳香が絡み合った、ヒュミドールを開いたときのあの幸福な香りだ。

ラッパーはコロラド・マデューロ。ほとんど葉脈のないしなやかな表面は、追加のダブルリングもあわせてこのシガーは特別なものだと語りかけてくる。

 

フットに火を当てる。優しい杉の芳香が立ち昇り、部屋中を満たす。至福の一瞬だ。

ひと口吸うと、滋味深い甘みとボリュームのあるウッドがはじけだした。

ほのかに感じるスパイスと、レザーとウッドの両輪が完全にかみ合っている。モンテクリストの個性が遺憾なく発揮され味わえる。

カシューナッツのペースト。ハーブ畑。塩おかき。

きめ細かくまろやかな煙は、チャーチルサイズならではだろうか。薄衣のように舌を覆うそれは絹のように繊細で、しかしはっきりとした存在感を示している。ミディアムボディ。旨みが激しく、コクが深い。

 

強喫煙すると、口腔を白粉が駆け抜ける。華やかなアフターは、口の中に花が咲いたようだ。エイジドは強喫煙での変化が分かりやすい。

中盤、アロマはますます豊かになる。香木のような優しい、しかし鮮烈なパヒュームはフットからもヘッドからも噴き出し、喫煙者を陶然の崖から突き落とす。

舌に残るスパイス感はやや主張を増し、ウッドも太くなる。吹き戻して喫煙を繰り返すと、余韻の長い味わいが炸裂し脳内の鐘を叩かれたような感覚に陥る。

 

どのような喫煙にも懐深くバラエティ豊かな喫感をもたらしてくれるので、あっという間に短くなってしまった。罪な葉巻である。なぜ葉巻は火をつけるとどんどん短くなっていくのか。一本くらいは長くなっていくものがあってもいいのではないか……

 

終盤も素晴らしく、香木にむせる。

終始味わいは優しく柔らかく、それでいて変化に富み喫煙者を離してくれない。吸い殻をシガートレイに置くのが惜しいくらいだ。ポプリ、白墨、白身魚のムニエル、流木の焚き火……。

60分で喫了。

なんとなく冗長なイメージのあるモンテクリストだが、そんな印象を鮮やかにひっくり返す、素晴らしいビトラだ。

ロメオともども、ハバノスの考える「熟成」とは何か、必ず味わってみる事をおすすめする。次のアネハドスが楽しみで仕方がない。

LABEL : Montecristo 【Special】