Quai D'Orsay Gran Corona '06

2016-05-13

ケ・ドルセー グランコロナ。コロナス・クラロと同じく、ケ・ドルセーの謎だがSBN25の箱には「Grand Coronas」と記されている。まったくハバノスというのは……。

サイズは42×155、コロナス・グランデス(ロング・コロナ)。コロナス・クラロより若干長いだけなので非常にまぎらわしい。そのためか、ケ・ドルセーの他のビトラと同じく1974年にリリースされたが2006年には廃盤となってしまった。

古い日本家屋の押し入れの奥の壁の香り。古い梁。ラッパーはやや濃いコロラド。フットは丸い。豊かな木の芳香。表面は滑らか。

 

フラットカット。フットを炙ると、湧き出るカラメルのような香り。たまらず突っ込んで喫煙すると、口から蜜がだらりと滴り落ちた。

それは錯覚だった。あまりに蜜の味が強烈なために感じた幻影だった。

ウッドと蜜。どこまでも続く杉の木目と、炸裂するような強い甘み。その位相が強すぎて頭がついていかない。混乱する。葉巻の味というより、何かの食べ物の味というのが近い……。

ライトボディだが、薄さは感じない。余韻が伸び、コクは深く、旨みが激烈だ。

強喫煙すると、極小のホワイトペッパーがほのかに現れ、野太くなるウッドの程よいアクセントとなる。コロナス・クラロと比較すると、よりウッディーが強い。

ケミカルっぽさというか硫黄っぽさというか、有機溶剤のようなテイストがとらえどころなくぽっぽっと浮かんでは消えていく。肉厚の花びら。山の果実の皮。

中盤、甘みはアフターに目立つように移行していく。

吹き戻して深く吸引すると、深いウッドの奥に白粉がチカチカ見え隠れする。巧みな味わいの変化に探りを入れながら喫煙すると、喫煙の強弱に合わせて万華鏡のように様々な表情を見せてくれる。思わす嘆息。

 

終盤には、グルタミン酸の塊のようなキノコが突如生えてきた。

収穫時期を逃して化け物のように傘が分厚くなったやつだ。思わず口を離し湧き出た煙に顔を突っ込むと、そのアロマにまた戦慄を憶える。

キノコがしぼむと、葉巻は短くなっていた。吹き戻しを繰り返して白粉をすくい取る。指が熱くて持てなくなるまで、それを繰り返した。

最後に特別に濃いウッドを残し、60分で喫了。

 

簡素なリングに騙されず、ケ・ドルセーに手を伸ばせば、そこには驚きの体験が待ち受けている。

LABEL : Quai d'Orsay 【Aged】