Cohiba Talismán Edicion Limitada 2017

2017-11-06

コイーバ タリスマンは2017年のエディシオン・リミターダとして発表され、同年のELは他にパルタガスのセリーNo.1、パンチのレヒオス・デ・パンチがある。
特徴としては、新たなビトラであるカニョナソ・ドブレだ。
サイズはRG54×154mm、ビトラ・デ・ガレラ:カニョナソ・ドブレ(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト・エクストラ)。堂々とした体躯である。ニス塗りSLBに2段10本が納められる。


箱を開けると、マデューロラッパーに金色のELリングとまばゆいコイーバリングのコントラスト。目がくらみそうである。
ヘッドはピッグテールで、手間と時間を惜しみなく費やしたシガーである事がわかる。
箱から一本取り出すと、熟れた南国の果実が放つような芳香を漂わせている。奥に深いタバコ香。
表面はオイリーで甲虫の羽根のようにまったりと輝き、独特の艶がある。目にした者の喫煙欲を掻き立て捉えて離さない、あの艶だ。

ヘッドをフラットカット。切断面はコニャックのような熟れた香りを漂わせる。
フットに着火すると、白粉の香り。喫煙する。
一瞬、頭がパンクした。
味覚と嗅覚から送られてくる情報の膨大さに、オーバーフローしたようだ。

輪郭のはっきりしたウッドのベールをくぐると、大輪の赤い花。ローストナッツ、深煎りのコーヒー、エルメスのレザーバッグ、ダークチョコレート。爆発する超新星、いや白粉。間違えるほどダイナミックな鮮烈さ。そしてそれら全てが上品にまとまっている。決して押し付けがましくも、これ見よがしでもない。無垢である。

 


カニョナソ・ドブレ(ダブルキャノン)の名前と外見に不釣り合いなほど上品なテイスト、しかしアロマは爆発している。
無限にブーケを放ち、まさに煙にまみれる恍惚を教えてくれる。
完全にこのシガーに屈服、いや喜んでその足元にその身を投げ出したい。
灰を落として強喫煙する。収斂しすぎて冷たさも感じるかというほどの物理的な白粉が炸裂する。満点。勝手に笑いが出る。

最高級のコニャックに酩酊しているような感覚。
中盤に蒸かし栗が目立ち始める。序盤にもしっかりとコイーバ独特のほくほくした甘みであるそれはちゃんと存在していたが、ここにきて伸びはじめた。
ブローすると口一杯に広がる絢爛な花と甘さ。そして広がるアロマ。アフターのどこまでも伸びやかな栗、栗の皮。立ち上がって拍手を送りたい。

リングのあたりにくると喫味はミディアムからミディアムフルへ。
蜜とレザーが杉材のスプーンでかき混ぜられ完全に混ざり合い、ほのかなビターが一滴。
赤々と燃える熾火の中に取り忘れた栗がひとつ。
仄かな胡椒が立ち、そのあとに覆い被さるようなアフターの甘み。

80分で喫了。タリスマンは完璧なひとつのコース料理、ひとつの舞台、ひとつの作品だ。
ひとつ言い忘れていたが、テイスティングしたのはファーストロットの一箱である。
通常生産品もこれをキープしてくれることに大きな期待を寄せたい。

LABEL : Cohiba 【Edicion Limitada】