Romeo y Julieta Belicosos '05

2018-08-29

 

ロメオ・イ・フリエタ ベリコソスは1960年代に生産が開始されたと思われる。
これより少し長いピラミデも同時期に作り始められたのかと考えがちだが、そちらは2000年から2003年までの生産と非常に期間が短い。市場でなかなかお目にかかれないのはそれが理由だ。

ベリコソスは25本入りドレスボックスが現在も生産されている。
サイズはRG52x140mm、ビトラ・デ・ガレラ:カンパナス(ビトラ・デ・サリダ:ピラミデ)。
ヘッドの尖ったビトラは巻き上げるのに技術を要する。しぜん、質は高くブレンドも厳選されたレシピとなる。ダブルコロナ、ピラミデ、ペルフェクトは上級のトルセドールしか扱えないのだ。

葉巻自体をチェックする。
香りはかなり霧消しているが、ウッドの感じが残っている。
コロラドのラッパーはやや荒く、表面に細い葉脈がはしっている。が、ヘッドは適度に膨らみを持った形にキャップが巻かれ、技量の高さを物語っている。肩の張ったヘッドは最近ではあまり見なくなった。
リングは2008年まで使用されていた旧リング。やや退色したような、真紅ではなく朱という感じのカラーだ。

フットを咥えて吸い込みドローをチェックする。
尖ったヘッドの中頃をフラットカット。この手のビトラはリカットできるので、テイストを変えるために最初はわずかに切り、段々とヘッドの径を拡大していくスモーカーも多い。

フットに火を灯す。甘みとウッドがふんわり広がる。喫煙する。
想像通りのテイストが広がった。
クッキー状のパラパラした穀物の甘み、丸いウッド、黒葡萄の皮、アフターにわずかにセメダイン、炭酸。
ニコチンを切り落とし、味わいとしての骨組みだけが残る適切に熟成したシガーは、このように強烈にタバコ以外の味わいが前面に感じられる。フレッシュシガーにはない点だ。(無論ニコチンなどたばこ葉の成分が変化を起こし芳香成分などになるので単純に失われたわけではいのだが)
ミディアムなボディは微妙に重なり合う立体的なテイストをひとつひとつ解きほぐすのに最適だ。なおかつコク深く、唾液を誘引するほどのうま味を含んでいる。

 


中盤は喫感がややドライに。それに伴いテイストもウッド、カシューナッツが支配的になり、ややペッパーをはらむ。ブローすると桃系の果実の皮や白粉が吹き出す。
あくまでソフト、不快な味やえぐみは皆無だ。完全に昇華している。

技術の限りを尽くしシガーのうま味を余すことなく味わっていると、終局が訪れる。
中盤からの味わいはソリッドに、尖った姿勢を見せ、白粉はますます濃くなる。
白く煙る視界に(心情的なものだ)脳も濃霧に包まれ、葉巻と自分だけの世界に没入しじっくりと対話していると、ふと指先に熱を感じ、最後に濃厚な蜜の味を残して消えた。

70分で喫了。
ピラミデは喫煙しやすいシェイプで、初心者にはスモーキングをリカバリしやすく、熟練者には目まぐるしい変化を自分で意のままにコントロールする楽しみを与えてくれる。
偉大なる中庸であるこのブランドのこのビトラは、非常に学びがある。

LABEL : Romeo y Julieta 【Aged】