Partagas Shorts '15

2019-12-13

ショートスモークといえば以前はこのシガーが代名詞だったし、手頃なサイズで最初のシガーとしておすすめされた方も多いのではないだろうか。パルタガス ショーツである。
1960年代に生まれたこのシガーは、当時と変わらず50本入りSLBと25本入り化粧箱で生産されている。

さて、ショーツといえば必ず話題に上がるのがそのバラバラの味だ。
一箱の中で味わいに幅があるのがハバノスの特徴だが、それにしてもというのがショーツ。
もちろん、ショーツも他のハバノス同様にレシピは存在する。ならばなぜこんなに振れ幅が広いのか?
理由としては「ハバノスは製造工程でカタドレスの品質検査で弾かれると小さなシガーに巻き直されることがある」ということが挙げられる。ショーツはパルタガスブランドで巻き直しで作られる事があるシガーなのだ。

レシピがあっても、8-9-8やD4などが無作為にバラされて巻き直された個体が入っていては、味わいに隔たりがあるのは当然の話である。たまにとんでもなく美味いショーツに当たる場合があるが、それはきっとルシタニアスの巻き直しかなにかだろう。
ちなみに、これはなにもパルタガスに限ったことではない。他のブランドでも行われる場合がある。その際に作られるビトラはなにか……実はそれは法則がある。だがここはショーツについての項だ。このあたりにしておこう。

手元の葉巻を振り返ってみよう。
サイズはRG42x110mm、ビトラ・デ・ガレラ:ミヌトス(ビトラ・デ・サリダ:ペティコロナ)。
ざっくりとしたラッパーは濃いコロラドで、表面にオイル分がにじみ出ている。
香りは強く、ウッドとレザーが半々。きついタバコ香。お世辞にも立派な外見とは言えないが、それがこのシガーの個性である。

フットを吸ってドローをチェックして、ヘッドをフラットカットし空吸いしてみる。
そしてフットに火を回す。ウッドが立ち昇る。

軽い甘みときついレザーが渾然一体になった強いテイスト。
白墨、ダークチョコレート、杉の薪。香草。フル。
ややドライな質感のスモークは旨味が強い。


中盤、ハーブのリキュールのようなコクが現れる。
強いが、荒々しさはない。レザーがインパクトを与え、背景には薄く浅いウッド。しかし、波のように刻々と変化するテイストは立体感がありハバノスの一員であると主張してくる。

終盤。最近の基準でいえば太い方ではなく、そして短いシガーなので終局は早い。
ブローするとキノコのようなうま味が現れる。小さくともポテンシャルは充分だ。
クリームのようなまろやかさとレザーが溶け合い、ウッドが彩る。最後にウッドはどっしり根を這わせ、おのれがパルタガスであるということを思い知らせてくる。

30分で喫了。パルタガスファミリーの末っ子は一癖も二癖もある。
ショーツの背景を念頭に置くのもいいが、ようはそのシガーが気に入ったかどうかである。
唯一無二のキャラクターを楽しむ、それこそがまさにハバノスに許された楽しみなのだから。

LABEL : Partagas