Cohiba Siglo VI '15

2020-02-19

シグロシリーズの中でも、「VI(6)」は他のⅠ~Ⅴと違い1994年ではなく、2002年に遅れて登場した。
タバコ発見の1世紀(siglo)ごとにひとつのシガー、というコンセプトのシグロ。1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見(諸説あるが)し、1994年に5世紀分のシグロⅠ~シグロⅤが発表された。
それではシグロⅥは2092年にならないと発表できないが、「世紀の前借り」をしたというわけだ。そのままさらに100年前借りして、シグロⅦも出してくれればいい。

さて、シグロⅥは他のCohibaと同じようにニス塗りで25SLB、10SLBが出回っている。
アルミニウムチュボス入りも人気で3本入りのペーパーパックは2008年から発売された。その他にもセラミックジャーや特別なギフトボックスに収められた品があり、ハバノスの旗艦ブランドをなすコイーバの中核、シグロシリーズで最も大きな品なので常に品薄である。

サイズはRG52x150mm、ビトラ・デ・ガレラ:カニョナソ(ビトラ・デ・サリダ:ロブスト・エクストラ)。このビトラは他にはシグロⅥグランレゼルバ、2010年のエディシオン・リミターダのモンテクリスト グランド・エドムンドなど特別なものしかない。ハバノスの気の入れようが伺える。

黄色いリボンから一本抜き、葉巻をしげしげと観察する。
なめらかなラッパーは高級ラインであるコイーバ特有のものだ。とくにヘッドに熟練の処理が見て取れる。表面はコロラド。
チェッカーと黄色、そしてタイノ族のシルエットのリング。2014年にリニューアルされホロが施されたそれは、すでにおなじみだ。
香りはレザーを含んだウッドで、非常に濃厚。さっそくヘッドをフラットカット。フットに火を回す。
甘いナッツが噴出する。

喫煙すると、ガス香を伴いピスタチオ、レザー、エスプレッソが飛び出す。
レザーよりウッド寄りのミディアムで、うま味の塊のようなスモークは豊かなアロマでコクが深い。白檀、そしてコイーバ特有の栗。非常に奥行きのある立体感だ。
きめ細かい濃密な煙は一切の荒々しさを廃し、どこまでもスムース。カニョナソの太さ・長さからくる煙量はふくよかで無限に広がる。


灰を落とし強喫煙すると、いっそう栗が強く現れる。焼き栗の焦げ感と強烈な甘味が口腔を蹂躙する。俺こそがコイーバだ!と無言で訴えかけてくる。強く。

中盤は栗が全面に出てきて、葉巻を吸っている感がない。無限に焼栗を頬張っている感じだ。
焼いてぶすぶすと溢れてくる蜜の様子もそのままに、嫌味のない自然な甘みが味蕾を浸す。オールドコニャックのコク。

もちろんハバノス、序盤・中盤・終盤と区切ってもその中に微妙で複雑な味わいと香りの変化が連続する。変幻自在。それがハバノス。
終盤、ホワイトペッパーが加わりガス香を強く感じる。
ブローすれば白粉。花が咲く。
うまさに味蕾が反射でだらだらと唾液を垂れ流すのでヘッドをドライに保つのに骨が折れる。
焼けた栗の皮の質感すら感じる。70分で喫了。

シグロシリーズのトリを飾る(今のところは)シグロⅥ。
ランセロやエスプレンディドスと並ぶコイーバのマスターピースだ。

LABEL : Cohiba