La Gloria Cubana Inmensos '10

2020-10-08

インメンソスは2010年のリリース当時、並ぶものがない名前の通り巨大なシガーだった。
今ではリングゲージが54を超える長大なシガーも珍しくはないが、当時は限定品などで数えるほどしかなかったのでその威容に圧倒された。ニス塗りSBNを開けたときに10本並んだカマダ(葉巻を並べた列)を見て驚きと口中に湧き上がる唾を飲み込んだ覚えがある。
販売当初は5000箱限定という予定だったらしいが、その後4年ほど生産は続けられ、一応今もHabanos S.A.のプロダクションボードに残っている。が、廃盤にはしていないが実質生産はされていないだろう。ハバノスのファンなら当然心得ているものだが、キューバのシガーとはそういうものである。

サイズはRG54x164mm、ビトラ・デ・ガレラ:スブリメス(ビトラ・デ・サリダ:ダブルロブスト)。長大なボリュームたっぷりのシガーである。

箱を開けると、ふわっとしたアロマが広がる。
ラ・カーサ・デル・ハバノ専売のシガーのひとつなので、目印の臙脂色のダブルリングを備えている。

紙製の外箱の中に、ニス塗りのSBN。10本入りの平箱だが、ラ・グロリア・クバーナの特徴である8-9-8ボックスのように両サイドはゆるくアールを描く。中には10本が並ぶ。
マデューロラッパーはブルームが何度も生まれて消えるを繰り返した痕跡が残り、重ねた長い年月を教える。クバーナのリングにLCDHのダブルリング。香りはウッドとこもったようなレザーがある。

太いヘッドをフラットカット。フットに素早く火を回す。素晴らしいウッドの芳香が満ちた。
喫煙する。ウッドをベースにフローラルな甘さ。花蜜。それをソリッドなレザーがしっかりまとめる。なによりアロマが極上だ。
ミディアムの芯がある、香り高いこのタッチはまぎれもなくグロリア・クバーナだ。

莫大な煙量で味わうクバーナは贅沢としか言い表しようがない。秀でたアロマが特色のブランドのスモークを思うままに纏うのは、ハバノスの威光を浴びるに等しい。
ピスタチオ、乳酸菌飲料のようなコク、しかしアフターはさっぱりと重さは微塵もなくなめらか。それでいてうま味は深く、どこまでも深遠だ。



その奥行き、立体感に陶酔している中盤、レザーが強く押し出る。そこに化粧香、コントラストが鮮やかに現れる。
レモンのような、柑橘類の爽快さとベリー。アフターはチョコレート。もはや葉巻を吸っている感覚というより、ひと皿のデザートプレートとなっている。

終盤は濃厚な喫感に。
ウッドがまた枝を伸ばし、めきめきと伸びる。そこにかかるチョコレートパウダー。黒インクが軽く添えられ、無限に深みに落下し続ける。
ブローするとぱっと華やかになり、白粉っぽさと華美な百合が咲く。

終始素晴らしいブーケ、そして変幻自在なテイストにたゆたう70分。
名作ぞろいのLCDHの中でも傑作ではないだろうか。このブランドの中でも特筆に値する。さらなる熟成を重ねたとき、どのような喜びを与えてくれるか、今から楽しみでならない。

ちなみにBolivarにはロンズデールにインメンサスというシガーが存在する(した)。
まぎらわしいので注意しよう。

LABEL : La Gloria Cubana 【Aged】 【LCDH】