El Rey del Mundo Gran Coronas '01

2021-10-01

豊富なラインナップを誇っていたEl Rey del Mundoは、他のブランドと同じように2002年以降は多くのビトラが廃盤となった。この名作グランコロナもそのひとつである。

サイズはRG46x143mm、ビトラ・デ・ガレラ:コロナ・ゴルダ(ビトラ・デ・サリダ:グラン・コロナ)。このビトラはエピクールNo.1など他にも多く展開されている。
25本入りはドレスボックスとSLB、50本入りのSLBも存在したが、すべて2002年に廃盤となった。1960年代から製造され続けていたと思われる。

箱から取り出しチェックする。ラッパーはコロラド・マデューロ。オイル分でしっとりしている。香りはウッド、古い日本家屋を彷彿とさせる。ドレスボックスなのでフットは四角くなっている。

フットをフラットカットし、空吸いする。20年も経ったシガーは葉が痩せてドローがきついということはあまりない。カット面からはウッドが色濃く放たれる。
フットに火を灯す。甘いウッドが立ち昇る。
喫煙する。香りの通り、ほのかな甘味と豊かなウッドが口腔にあふれる。枯れたウッドが滋味深い。
本枯節の出汁、ミックスナッツ、古いシダー、ごく小さくアフターにビター。ミディアムライト。うま味が強い。
ほのかな白粉の面影が、長い年月でタバコ葉が豊かな芳香成分へと昇華したことを教えてくれる。

時間と水分と空気と微生物の精巧な働きが、ニコチンやその他のタバコ葉の成分へ複雑な化学変化をおこす事に思いを馳せていると、中盤はウッドと白粉が伸びてくる。
パイのように味わいの層がいくつも重なり、経過時間と喫煙の仕方で様々な表情を見せる。それは奥行きも幅も広く、非常に立体的で際限がない。アフターに杏仁。ミント。


終盤、喫感がやや重くなる。
ブローするとはっきりと燻製アーモンドが現れる。深いウッドは軽やかだが、序盤からの深いコクは変わらない。ライトだがこっくりとした味わいが同居している。
たまにふと顔を出す瑞々しい果実感とウッド感のコントラストが鮮やかで、時間を忘れる。

60分で喫了。
地味に見えて、その中は華やかな驚きが隠されているのはハバノスの最も得意とするところ。驚きの体験が味わえる。
ショワ・スプレームとの比較を念頭にテイスティングしたが、ブレンドの違いは明らか。ハバノスのリガドールの精巧なレシピに舌を巻く。
どちらが上か、などと考えることに意味はないし、受け取り手であるスモーカーはそれぞれをただ評価すれば良い。長い歴史の中で綺羅星の如く消えていったシガーを慈しむだけである。

LABEL : El Rey del Mundo 【Aged】