Juan Lopes Seleccion Suprema 2009 ER Reino Unido

2022-03-14

セレクシオン・スプレマは2009年にイギリスのエディシオン・レヒオナルとして発売された。10本入りSLBという珍しいパッケージングで、2000箱が生産された。
その後2016年にもイギリスERで同ブランドからセレクシオン・スーペルバが発売されることとなる。なんと紛らわしい。

サイズはRG48x157mm、ビトラ・デ・ガレラ:ヘルモソスNo.2(ビトラ・デ・サリダ:グラン・コロナ)。
このビトラはELかERにしか存在しない。特別なビトラだということが推し量れる。最近だとQuai D'OrsayのセナドレスEL2019、PartagasのレガドスEL2020がこのビトラだ。

葉巻を観察する。
コロラドのラッパーの厚みはごく薄い。
香りはほのかなレザーとウッドで、表面の油っぽさは抜けている。
最も目を引くのは、このシガー専用のリングだ。通常のファン・ロペスのリングより大振りで、センターにシガーの名が記されている。
これはセレクシオン・スーペルバでも同じように専用リングが使われることになる。大きな外見と相まって迫力満点だ。

ヘッドをカットし、着火する。
まろやかなタバコ香が渦を巻く。
喫煙する。淡くウッド、その側をレザーが覆っている。
ほんのりとした甘みとレザーのかっちりとした硬質さが完全にマッチし、輪郭のくっきりした味わいを作り出している。
しかし経年変化でそのタッチはなめらかで、引っかかるような感じは皆無だ。
喫煙の強弱でウッドは白粉に、レザーは花の蜜へと自在に変化する。

ミディアム。熟成によりタバコ感は薄れ、それにより確かな味覚を感じさせるテクスチャがいよいよ剥き出しとなり、すでに葉巻というより一個の食物と化しているのが分かる。
わずかに感じるビター、ピカン、古い手紙束、黒インク、古民家の香り。


無限に変化するニュアンスに翻弄されていると中盤。
10年も経てばシガーは水分保持力が衰え、どうしてもドライ気味となるので燃焼が早い。
しかしドライ気味ということはダイレクトにテイストを感じられるということだ。単に乾燥した葉巻とは異なる。
ナッツと白粉にまみれる。煙量が豊かで、煙に巻かれる愉悦に浸れる。快なり!

ハバノスのイギリスへのえこひいきには嫉妬しかないが、ハンターとの蜜月を考えればしかたがない。
終盤はビターが立ち、キリリと引き締まる。
こういった変化もわかりやすく、冗長になりがちな長尺にも関わらずメリハリが効いている。スモーカー側も背筋を正される。
黒インクとナッツ。ブローするとクリアにそれらが感じられ、ドライフラワーが散る。

80分で喫了。
円熟の極みに達したエイジドシガーは美味い。
吟味された材料で作り上げられたのならば、それは芸術品と言っても差し支えない。
ハバノスのマスターピースのひとつといっていいだろう。

LABEL : Juan Lopez 【Aged】 【Edicion Regional】