Partagas Tropicales 175 Aniversario Humidor '20

2024-05-31

パルタガスのブランド創立175周年を記念して、豪華なヒュミドールが作られた。
製造されたのは450個。中にはシガーが50本収められている。これがトロピカレスだ。
1995年の150周年より5年おきに製造される記念ヒュミドールの存在は、パルタガスが他ブランドとは一線を画す証明となっている。

サイズはRG54x175mm、ビトラ・デ・ガレラ:トロピカレス(ビトラ・デ・サリダ:ダブルロブスト)。
以前の記念ヒュミドールにもあったが、周年と同じ長さ、独自のビトラだ。非常に芸が細かい。

シガーをチェックする。ラッパーは輝き、テカテカとオイル分が光っている。やや濃い目のコロラドの表面は非常に滑らかで、仕上がりが綺麗だ。特別な赤いフットリングが否応にも目を引く。
香りは強いレザーだが、押しつけがましさがなく、あと引く香りだ。持ってみると指に吸い付くようなきめ細かなラッパーに驚く。

ヘッドをフラットカット、フットに着火。
大きな断面に火を広げると、柔らかいレザーの芳香。
喫煙する。驚くほど端正なレザー。硬さや荒さを微塵も感じさせない。確かにパルタガスのレザーだが、同じ素材で全く異なる洗練された料理を口にしたような感覚に陥る。
コーヒー、アーモンド。アフターにわずかにメタリック。
そしてキノコのようなうま味が強烈で、脳を麻痺させる。コクも深く違法物質を疑う。

太いリングゲージでフィラーを積めるためか、味わいの幅が広い。
基本的な軸はレザーだが、ウッディーからアーシーまで、広いテイストを含んでいて、ゆっくりと変化しながらそれらを横断していく。フル。

 


中盤はレザーとウッドがせめぎ合う。
強いが重たいわけではなく、厚いが重たいわけでなく、重厚なレザーの振幅に踊らされる。
当然ながら煙量も豊かで、その煙に巻かれているとパルタガスというブランドの深遠さに思いを馳せざるを得ない。
キノコは輪郭をまとい焼き椎茸に、アフターのメタリックはアーモンドの皮へ変化する。
えぐいほどのうま味に味蕾が破壊されている。

終盤。長大なシガーだが、全く飽きずに疲れもしない。むしろスモーキングが加速しすぎないよう、気をつけるのに手間取るほどだ。
ブローするとビター感が一気に爆発し、深い味わいに唸らされる。
レザーからビターへ軸足を移し、変化の末にたどり着いたそれは今までに拡大したテイスト全てに複雑に絡み合い、融合し、なんとも精妙だ。
針のように鋭いレザーが舌を貫通し、100分で喫了。

記念ヒュミドールに収められるシガーは、一本一本がハバノスの粋を集めたものだ。
そのマスターピースに触れられる機会は決して多くないが、その体験は巡り合わせ。チャンスが来たらスモーカーは考える間もなく手に取ることを勧める。

LABEL : Partagas 【Special】