コラム|ショートスモークがなぜ悪い

2015-10-23

 dailyurbanista.com

新しく発表され、市場に出回るシガーはいつのころからか「太く、短く」がかなりの割合を占めるようになった。

なかにはリングゲージ60を超えるのに指の長さくらいのものなど、とてもユニークなシガーもあり非常にバラエティが増えて喜ばしい限りだ。

 

しかし、たまに「昔のような細く長くエレガントな葉巻がなくなってしまうのは嘆かわしい」というスモーカーの話を聞く。

正直、これは誤りである。

 

細く長くエレガントなシガーは、ペルフェクトといわれるシガーの両端を絞ったクラシックなシェイプの葉巻の次に流行った形である。より洗練され、スマートなシェイプであるパレホは、これがオリジナルなシガーの形というわけではない。

 

昔も今も、シガー業界はスモーカーのニーズを敏感に感じ取り、製品に反映し続けてきたのだ。

最近の「ごんぶと」シェイプにもちゃんといくつか理由がある。

たとえば、喫煙場所の制限だ。

世界的な禁煙の流行で、シガーの本場ヨーロッパではほとんどの場所では喫煙が不可能だ。例えばフランスでは、カフェでシガーを吸おうとすると店外に押しやられる。透明なビニールテントのような覆いで囲まれたテラス席だ。

雨がしのげてストーブがあるだけマシだが、ビニールの隙間や足下からは底冷えするような風が吹き込んでくる。

凍える前にシガーの満足感を味わうためには、ある程度の吸い応えを得られるゲージの大きさと、短時間で喫了できる短さが必要なのだ。

 

シガーは時間を贅沢に使う方法の極致だが、分刻みの現代社会のなか、いつも時間の束縛なくシガーを愉しむのはなかなか難しい。

目的・用途によって様々なシガーが選べるようになったのは、スモーカーにとってラッキーな事だ。

ショートスモーク・ワイドゲージは、われわれ現代人たちへ贈られた癒しのギフトなのだ。