コラム|シガー保管の最善手――加湿庫

2018-04-05

シガーを楽しむために必要な事は三つある。

・シガーを楽しめる場所を準備する
・シガーを購入する手段を用意する
・シガーを管理する方法を会得する

優先順位は上からこの順である。これに例外はない。

一番目の楽しめる場所は、「Cigar Map」があるので問題ない。
あなたが投稿するベニュー情報やレビューが世界のどこかのスモーカーの一助となる。逆もまた然りだ。大いに活用してほしい。
二番目はこのIT社会、ネットで世界中どこからでもシガーは購入できる。100%本物を取り扱うと保証できるLa Casa del Habanoで購入することに留意すれば問題ない。LCDH以外のショップでは、流通量からおよそ4割がフェイクシガーだと思われる。
10本買えば単純に4本が偽物だ。手を出さなければ問題ない。
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Edición Regional、エディシオン・レヒオナル)と呼ばれる販売国限定シガーはその国のLCDHショップにネットでオーダーすれば最安値で手に入る。第三国に持ち込まれたものは値段に上乗せされているので高額だ。
そして三番目は、このCigar Naviの各コンテンツで述べているので問題ないだろう。

……しかし、聞くとやるとでは大違いである。
気温と湿度を一定に保つ設備は、医療・研究機関でもないとまず存在しない。気温摂氏16~18℃、湿度65~70%を厳守はかなり難しい。(これがHabanso S.A.の定めるデフォルトの管理環境だ)
ハバノスはウイスキーのようにタフな代物なので、その条件から外れてしまったからといってすぐにどうこうなるものではないのでそこまで神経質になる必要はないが、心配で何度もヒュミドールやイグルードール(クーラーボックス)の蓋を開け閉めした経験はどのスモーカーにもあることだろう。

生活環境の中に置けば、摂氏16~18℃から大幅に逸脱することはあまりない。人間が快適に生活できる温度と重なるので、直射日光の当たるような窓際でなければ問題はないはずだ。
温度のコントロールは、普通は生活の中で意図せず行っているのでそんなに難しいことではない。問題は湿度である。

ヒュミタッパーという回答を当サイトでは示しているが、これはそのまま売っているものではなく、小型のタッパーとヒュミディティビーズ(ヒュミビーズ)と精製水を購入し、自作する必要がある。
そしてヒュミタッパーは乾かないように精製水を継ぎ足し、温度や湿度が高くなりすぎたときはその数を調整する、という維持管理が必要になる。

この管理は人が関わることなので、人為的なミスや長期不在時の対応などへの解決策は何かないだろうか?と探してきた。
ウォークインヒュミドールは前提条件が多すぎるので非現実的である。ということで、今回は加湿庫「ウェット・キャビ」を提案したい。

 


ウェット・キャビ180リットル全景
(2020年2月モデル)


これはカメラの防湿庫と逆で、空気中から湿度を取り込み自動で庫内の湿度を70%程度に保つ機能を持つ。温度調整機能はないが、前述の通り住環境に置くのであればとくに問題ないだろう。

「ウェット・キャビ」はご覧の通りかなりの収容数をほこる。最大サイズのイグルーと同じくらいの収容能力だ。
葉巻をバラで保管するのではなく、箱ごと保管することのメリットは様々な媒体で解説してきたのでここでは割愛する。
ようは「大空間に」「できるだけ隙間なく」「葉巻を詰め込む」ことが葉巻の熟成には必要であることが要点だ。
ヒュミドールやイグルードールが平屋だとすれば、このウェット・キャビはタワーマンション。実用に耐えうるヒュミドールはこのウェット・キャビより高価だが(ヒュミドールの密閉性は値段相応なので安かろう悪かろうの世界だ)、それなら葉巻が箱ごと(むしろヒュミドールも)入ってしまうこれも十分検討に値する。

ルシタニアスの50CABやモンテクリストAの箱も無理なく収容できる容量があり、美しい葉巻の箱をディスプレイとして楽しむことも可能だ。
葉巻の回転の早いバーやショップでは箱をそのまま積めば良いと思うが、個人宅では葉巻の箱内部の湿度の変化を穏やかにするため、また他の箱へタバコシバンムシが移動するのを防ぐために箱ごとジップロックに入れることをおすすめする。

この手の機械は海外生産が多い中、これは国内メーカーである。海外生産品は機械部分の信頼性の他、大きな懸念点は価格である。大量に生産・消費される家電製品ではないので、輸入には結構根が張るのが現実だ。比較するとだいたいのスタート価格がこのウェット・キャビの2倍弱からだ。
価格の話をすれば、ワインセラーを使って管理するのであればこちらのほうがおすすめである。(同程度の大きさのワインセラーよりもこちらの方が格段に安いうえ、ワインセラーは湿度の管理ができないものが多い)


運用例

湿度を機械任せにできるメリットは大きい。そんな機能面以外のメリットも多く、イグルードールにかがみ込み顔を突っ込んで腰を痛める心配もなくなる(痛ましい話だが、吸う葉巻を物色してイグルードールをあさって腰を痛めた同胞の話は枚挙にいとまがない)。
また鍵がかけられるのでご家族に葉巻を荒らされる心配も無用だ。

ウェット・キャビはルーチンの葉巻の管理を簡単にしたい、また絶対に管理に手を抜きたくないお宝の葉巻を収容したいなど、スモーカーが持つ様々なニーズに対応してくれる。
きっとあなたのシガーライフをさらに充実させてくれることだろう。


ウェット・キャビ WET-182 税込み 250,000円(オプションのキャスターが無料で付属)
諸元表:


 

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2022-2-21 更新