米・キューバ高官、大使館再開へ詰めの協議急ぐ

2015-06-17

 【ワシントン=川合智之】米国とキューバは22日、ワシントンで国交正常化に向けた第4回高官協議の2日目を開いた。外交官に移動の自由をどこまで認めるかなどが焦点となっている。キューバ革命後の1961年以来断絶していた両国の国交回復に向けて重要な節目となる大使館再開に向け、詰めの協議を急ぐ。

 国交正常化交渉入りは昨年12月、オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が表明。今年1月から高官協議を進めてきた。4月に中米パナマでオバマ氏とカストロ氏が会談し、大使館の早期再開で合意したことで交渉に弾みがついた。

 この間、キューバ側は米が指定した政治犯らを釈放。米はテロ支援国家指定の解除承認や渡航制限の緩和などで歩み寄ってきた。29日にはテロ支援国家指定の解除が発効することになっており、カストロ氏は駐米キューバ大使を任命する意向を示している。

 大使館の設置が決まれば、米大統領は15日前までに議会に通知する。オバマ氏は「ハバナ訪問を希望している」(アーネスト米大統領報道官)といい、カストロ氏とのキューバでの首脳会談も視野に入る。

 次にキューバが期待するのは、経済制裁の解除による両国間の貿易拡大だ。ただ、全面解除には米議会での立法措置が必要となり、現状ではハードルが高い。オバマ氏は当面、大統領権限で可能な範囲で制裁の緩和を進める考えだ。

 米側にとって残る課題は人権状況の改善だ。キューバでは政権による政治活動家やジャーナリストの弾圧が続く。米は言論の自由を確保するよう要請するとともに、経済交流などを通じてキューバの民主化を支える。

日本経済新聞