Partagas Coronas '06

2021-09-03

何かと話題のコロナである。
「コロナ」はスペイン語で「王冠」。ハバノスの基本とされるサイズといわれてきたが、2002年を機会にぐっと廃盤が増え今ではほとんどのブランドで存在しなくなった。ビトラも流行り廃りがあるので、そういうものである。
さて、パルタガス コロナスは1960年代以前から2006年まで製造され、25本入りドレスボックス、50本入りSLBで販売された。セロファン入りの25本ドレスボックスもあったが90年代初頭に姿を消した。

箱を開くと、濃厚なタバコ香。レザー。
色合いはコロラド・マデューロで油っ気が多く表面はしっとりしている。ラッパーは薄く美しい。
早速ヘッドをフラットカット。フットに火を回す。
甘いナッツの芳香。喫煙する。
香りの通り、芳醇なナッツ。これはカシューナッツ。そして糖蜜の甘さ。
芯にレザーが仕込まれている。ほんの少しのコゲ感を感じるビター、エスプレッソ。ストロング。

強さは(かなりの)あるが一切の荒々しさを感じないのは、どの味わいも澄んでいて不純物的なものを感じないからだ。
経年変化でそういったものは削り取られ、うま味の骨格だけが残り、強いコクと豊かな香りが残った。


中盤、レザーとビターが伸び、「これぞパルタガス」という質実剛健さが一気に開花する。
15年が経過してもこれだけの濃さを維持しているのが、このブランドたるゆえんだろう。
現行のシガーでこの強烈なアフターを持つハバノスはない。

終盤はさらに苛烈になる。「ソフト」とか「柔らかい」といった表現を一切拒絶する、強烈なキック。しかしそれは驚くほど整然と端正で、硬いが粗さは一切ない。カカオ100%のチョコレート。スモークナッツ。古いなめし革。
ブローすると現れる果実感がレザーと絶妙にマッチし、味蕾を絞る。

60分で喫了。
非常に強いシガーだが、それだけではないブランドの深奥がのぞける。
確かに傑作のビトラだが、それは味わって楽しんでこそ。ハバノスに新たな傑作は作られ続けているので、その比較として記憶に刻まれるシガーだ。

LABEL : Partagas 【Aged】