H.Upmann Amatistas '01

2022-08-13

「アメジスト」を意味するアマティスタスはH.アップマンから2002年まで販売されていた。
ハバノスにしては珍しいネーミングが目を引く。
目を引くのは名前だけではない。結構希少なクラシックなビトラで、現行品にはひとつもない。

サイズはRG40x146mm、ビトラ・デ・ガレラ:スーペリオレス(ビトラ・デ・サリダ:ロングコロナ)。
ラモン・アロネスのLCDHにスーペリオレスがあるが、このシガーは名前だけでビトラはコロナス・ゴルダスになっている(コイーバ シグロⅣなどと同じだ)。
1960年代から、25本入りドレスボックスで提供されていた。セロファン入りのものも存在していた。

箱から取り出しチェックする。リングは変色し、コロラドラッパーも経年変化で色合いがぼんやりしている。表面はなめらか。油気はなく、香りは古い日本家屋を彷彿とさせる。

ヘッドをフラットカットしてフットに火をつける。
硬い木材が燃えるとき特有の香り。喫煙するとビターが最初に当たり、すぐ芳醇なウッドとタバコ感。古い手紙束を感じる。
紅茶、ナツメグ、流木の焚き火。ミディアムライト。
ドライなタッチでうま味が強い。


中盤はソリッドな喫感。ビターが鋭く心地よい。
そのビター感はウッドから出ていて、喫煙の強弱で絶えず変化する。
ハバノスは燃焼温度により味わいが変わるものだ。
パチパチするようなその硬さの裏側に、干貝のようなうま味の塊が隠れている。見た目以上の味わいの太さ。

終盤、ビター感がさらに増す。
ブローすると鼻を抜ける白粉に陶然とする。年月を重ねたタバコ葉は花へと変化する。
甘みも若干感じる。豆類のような甘さだ。

50分で喫了。
20年以上経ったシガーは葉が痩せ、保湿力も落ちているので喫煙にはコントロールが必要になる。
しかしそのように吸ってやれば、贅肉を削ぎ落としたブランドの真価と、驚くようなパフォーマンスを見せてくれる。
希少なビトラでアップマンの個性を堪能できた。

LABEL : H. Upmann 【Aged】