米・キューバ国交回復 54年ぶり、双方の大使館再開

2015-07-21

 【ハバナ=宮本英威】米国とキューバの両政府は20日、双方の大使館を再開し、1961年の国交断絶以来54年ぶりに国交を回復した。ワシントンを訪問したキューバのロドリゲス外相がケリー米国務長官と会談する。米CNNテレビによると、ケリー氏は8月14日にキューバを訪れ、米大使館で国旗を掲揚する。東西冷戦の遺物だった両国の対立を解消する歴史的転換となる。

 ワシントンとハバナにある両国の利益代表部をそれぞれ大使館に格上げし、臨時代理大使を任命。ロドリゲス氏は20日にワシントンでキューバ大使館の再開記念式典に参加した後、同日午後(日本時間21日未明)に米国務省でケリー氏と会談する。

 両国はローマ法王フランシスコの仲介で、2013年から事前交渉を続けてきた。14年12月に国交正常化交渉入りを正式発表し、15年4月にオバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が中米パナマで59年ぶりの首脳会談を実現。5月に米はテロ支援国家指定を解除した。

 オバマ米大統領は長年の敵対国と対話することで体制変化を促す関与政策を進めている。イランとの核合意に続きキューバとの国交回復を実現し、相次いで外交成果をあげた形だ。オバマ氏は対キューバ経済制裁を一部緩和し、観光などの経済交流が進む見通し。

 オバマ氏は制裁の全面解除を米議会に求めているほか、キューバに民主化や人権問題の改善を働きかける。一方、野党・共和党が多数派の米議会では解除反対論が根強い。キューバも共産党一党独裁体制を維持したい考えで、両国の対立点は残りそうだ。

 制裁の一部緩和を受けて、航空会社のチャーター便運航やホテル・リゾート施設の開設に加え、エネルギーやインフラ業界もキューバへの進出を見込む。両国の関係改善が進めば、キューバの経済発展も進みそうだ。

日本経済新聞